日本臨床外科学会雑誌
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早期S状結腸癌に併存した孤立性肝膿瘍の1例
谷崎 裕志河野 至明渡邊 英二郎堤 修旗手 和彦菅井 桂雄
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2002 年 63 巻 2 号 p. 449-453

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抄録

われわれは,早期S状結腸癌に併存した孤立性の化膿性肝膿瘍の1例を経験したので文献的考察を加え報告する.症例は56歳,男性.全身倦怠感,発熱の主訴で近医にて治療うけるが,軽快せず, 1999年7月13日来院した.腹部CT, USで肝外側区域に8×6cm大の孤立性の肝膿瘍を認めた.入院し,抗生剤点滴投与するも効果なく,入院後5日目に経皮経肝膿瘍ドレナージ(PTAD)施行した(膿培養ではKlebsiella pneumoniae).膿瘍ドレナージ後,下熱したが,貧血を認めたため,大腸内視鏡検査を施行した. S状結腸にIsp様のS状結腸癌を認めた. 1999年9月3日, S状結腸切除(D2)+肝外側区域切除を施行した.病理組織ではS状結腸癌はwell differentiated adenocarcinoma, sm, infβ, ly(-), v(+), n0であり,肝病変部はgranulation tissueであった.術後経過は良好で1年8カ月以上経った現在肝膿瘍の再発は認めていない.

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