2002 年 63 巻 2 号 p. 454-457
患者は51歳,女性.右乳癌にて乳腺部分切除術が施行され,外来で経過観察中,胸部CTにて脾門部に石灰化を伴った腫瘤を認め,脾動脈瘤が疑われ入院となった.血管造影では,脾動脈上極枝分岐部に直径1cmの広頸性脾動脈瘤を認めた.コイルの末梢への逸脱や脾梗塞を考慮し, IDC® (Interlocking detachable coil, Boston Scientific)を使用し,塞栓術を行った.マイクロカテーテルを脾動脈瘤内まで進め, IDCにて瘤のpackingを行った.塞栓術後コイルの逸脱は認めず,血管造影および造影CTでは瘤内は造影されず,脾梗塞も認めなかった.脾動脈瘤は小さくても破裂の報告もあり,発見しだい治療を行うべきである.近年interventional radiologyの手技により低侵襲で安全に塞栓術が行われるようになってきており,症例によっては第一選択の治療となると考えている.