抄録
Crohn病に合併した小児脾膿瘍の1例を経験した.症例は3歳,女児.遷延する腸炎の治療中に脾膿瘍を認め紹介となった.抗生剤の点滴静注療法を行ったが脾膿瘍は改善せず, interventional radiology (IVR)を用いた選択的抗生剤動注療法で炎症を可及的に消退せしめた後に脾臓摘出術を行った.遺残膿瘍といった腹腔内の感染性合併症は認めなかった.術後より右手背の壊死性膿皮症や裂肛,口腔内アフタ,さらには下痢や下血が出現し,大腸内視鏡検査などによりCrohn病と最終診断した. IVRは本症に対し有効で,小児では脾臓温存といった観点からも治療の選択肢の1つになりうると考えられた.また,遷延する腸炎に合併する脾膿瘍の基礎疾患には,炎症性腸疾患も念頭に置き診療にあたるべきと考えられた.
本症例の臨床経過を報告すると共に,小児脾膿瘍の本邦報告40例を集計し検討を加えた.