抄録
症例は76歳,男性.肛門部に湿疹様病変を自覚し,他院にて慢性湿疹として治療されていた.当科初診時,やや境界不明瞭で表面凹凸の扁平隆起性病変を伴った湿疹様の皮膚病変を認めた.また,胸部X線検査,胸部CTにて直径約2.Ocmのspiculaを伴った結節影を認め,経気管支肺生検を施行したところ,扁平上皮癌の病理診断が得られた.手術は,肺機能を考慮し,二期手術とすることとしたが患者の希望が強く肛門部手術を先行した.病理組織学的に肛門周囲の皮膚病変はPaget病,肺腫瘍は扁平上皮癌の確定診断が得られた.患者は術後9カ月を経た現在,健在である.乳房外Paget病は消化器癌のみならず肺癌など他臓器癌を合併することがあり注意深い精査が必要である.