1999年4月から2001年8月までに当院において腹部大動脈瘤内ステントグラフト挿入術を10例経験したので報告する.危険因子として悪性疾患合併例が5例,脳梗塞が3例,心不全が1例, C型肝炎が1例であった.血管造影上,全例腎下部型で7例が総腸骨動脈まで拡張がみられ, 9例に下腸間膜動脈の開存を認めた.全例に手製のbifurcated Zstentを挿入した. 5例では片側の内腸骨動脈のcoilingを要した.術後の腹部造影CT上全例に下腸間膜動脈の閉塞がみられた.治療経過は良好であった.本術式では中枢側固定血管はもちろんのこと,末梢側固定血管の位置も重要となる.内腸骨動脈のcoilingを行った5例に腸管機能の低下は認めておらず,片側の内腸骨動脈を温存すれば,本術式は内外腸骨動脈分岐部まで拡張のみられる症例にも適応と考えられる.