日本臨床外科学会雑誌
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63 巻 , 4 号
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  • 広瀬 周平
    2002 年 63 巻 4 号 p. 797-806
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    過去50年間の胃癌手術5,487例につき検討した.進行胃癌切除例中の根治度A, Bにつき, 1971年から1975年と1991年から1995年の両群で20年間の間隔で5生率の年代的比較を行ったところ, 48%と61%で差は有意である.当初,根治度Cが多く5年生存率も低く手術成績の改善を要した上部胃癌, 4型胃癌,若・壮年者胃癌および残胃癌という胃癌4項目の手術例につき,同じく両年代群で比較検討した.上部胃癌,若・壮年者胃癌で, 20年間の間隔でそれぞれ有意の向上を認め, 4型および残胃癌では,ささやかな改善が得られたのみである.これら胃癌の4項目につき近年行った検討より,上部胃癌切除の癌の端から近位断端迄の距離(単にPM)と食道浸潤例での食道切除長(EL)の数値目標を含む上部胃癌手術の縮小と拡大の規準を設定した.また,進行胃癌切除術後の再発形式の検討に基づき,進行胃癌の手術中に行い得る再発防止対策をまとめた.
  • 佐藤 裕二, 西部 俊哉, 近藤 正男, 神山 俊哉, 安田 慶秀, 中瀬 俊枝, 池田 久實
    2002 年 63 巻 4 号 p. 807-812
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    自己血輸血に赤血球ドナーアフェレーシスを応用し,その有用性を検討した.健常人の全血400ml採血を3カ月おきに2回採血した.ついて,アフェレーシスによって得た赤血球液と400ml由来MAP液の性状を経時的に比較した.また,術前患者の赤血球採取割合とHb低下率をアフェレーシス群と400ml全血採血群で比較した.採血により赤血球, Ht値, Hb値は1週間後で最低値を示した.血清フェリチン値は低下したが,トランスフェリン飽和度は10%以下に低下しなかった.アフェレーシス群はMAP液群に比較して遊離Hb, 2, 3-DPGともに高値を示したが, 1週後の2, 3-DPGのみ有意であった.アフェレーシス群は全血群に比較して,採血前Hb値は低下していたが, Hb低下率も高かった.赤血球採取割合は高いが有意差はなかった.赤血球ドナーアフェレーシスでは採取装置の条件設定が可能であるため,患者条件により効率的に自己血採血すべきと考えられた.
  • 愛甲 聡, 吉住 豊, 杉浦 芳章, 松山 智一, 前原 正明
    2002 年 63 巻 4 号 p. 813-820
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胃切除の既往のある食道癌患者32例(胃切除群)を,他の食道癌患者450例(対照群)と比較して臨床的特徴について検討し,治療方針再考のため手術侵襲,合併症発生頻度,リンパ節転移状況を比較した.胃切除後食道癌では背景因子・占居部位・組織型において特徴的な所見に乏しく,胃切除と発癌の因果関係を示唆する所見はなかった.手術例では,手術時間・出血量,肺合併症の発生頻度が胃切除群で有意に多く,とくに結腸再建例では在院死の頻度が高かった.両群で組織学的リンパ節転移,転移個数に有意な差はなかったが,胃切除群ではリンパ節転移陽性例に占める腹部リンパ節転移例の割合は40%て,対照群の68%に比べ有意に低く,転移が縦隔に限局している症例が多かった.胃切除後食道癌は手術的治療に対する悪条件と,放射線化学療法にとっては照射野を制限できるという好条件を有しており,放射線化学療法の適応拡大を考慮すべきと考えた.
  • 片野 素信, 板橋 正幸, 堀 眞佐男, 島崎 二郎, 佐藤 茂範, 田渕 崇文
    2002 年 63 巻 4 号 p. 821-827
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    細胞間接着分子であるE-cadherinおよびその膜裏打ちタンパクであるα-catenin, β-cateninが癌組織において高頻度に減弱し,癌の転移・浸潤を引き起こす重要な分子であることが知られている.われわれは, sm早期胃癌におけるリンパ節転移例と接着分子の発現性との相関を検討し,簡略化予後推定法の確立を目的とし,これらが浸潤転移の予知に有用な因子となりうるかを考察した.対象は, sm早期胃癌39例(リンパ節転移: 10例)で生検,手術材料において,各分子の免疫組織染色を施行し,発現の程度を4段階に分けて,発現度と臨床病理学的所見との比較検討を行った.生検材料において,リンパ節転移例におけるE-cadherinの発現の減弱,消失例が全体の80%を占めており,発現度で同等,消失間で統計学的有意差が得られた(p<0.05).免疫組織学的に,生検材料での接着分子の発現度が,リンパ節転移の予知因子になりうる可能性が示唆された.
  • 頼木 領, 渡辺 明彦, 仲川 昌之, 佐道 三郎, 山田 貴, 楠本 祥子, 玉置 英俊, 本郷 三郎
    2002 年 63 巻 4 号 p. 828-833
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Gastrointestinal stromal tumor (GIST)の臨床的意義を明らかにするため,当科で切除されたGIST 30例を臨床病理学的,免疫組織化学的に検討した.腫瘍径と病理組織学的所見により悪性度を判定した.またα-SMA, S-100, CD34, c-kitを用いた免疫組織化学染色によりsmooth muscle type, neural type, combined smooth muscle-neural type, uncommitted typeに分類した.転移や再発を認めた4例は腫瘍径が大きく消化管管腔外に発育し,潰瘍形成や中心性出血を認めた.多変量解析では,免疫組織化学的分類は予後因子となり得ず,腫瘍径が独立した予後因子であった.また腫瘍死した3例が小腸原発であったことから,早期診断が困難である腫瘍が巨大に発育した場合に予後不良であると考えられた. GISTの免疫組織化学的分類は臨床的には意義は小さく,病理学的悪性度と腫瘍径などの肉眼所見で予後を予測することが必要と考えられた.
  • 中島 信久, 秦 温信, 松岡 伸一, 蒔田 圭子, 横田 良一, 竹原 めぐみ, 谷 安弘, 佐野 文男
    2002 年 63 巻 4 号 p. 834-838
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    最近7年間に当科で手術を行ったgastrointestinal stromal tumor (以下, GIST)11症例について臨床病理学的および免疫組織学的検討を行った.発生部位は胃8例,十二指腸1例,小腸2例で,免疫組織学的検査の結果, c-kit, CD34, SMA, S-100の陽性率はそれぞれ100%, 81%, 27%, 0%であり,これよりuncommitted typeが8例, smooth muscle typeが3例と分類された.良悪性の診断は,病理組織学的に低悪性度が2例,悪性が4例であり,このうちの3例で転移再発を認めた. p53, Ki-67は悪性度診断,転移再発を予測する上で有用であった.本疾患の概念は未だ流動的だが,今後,個々の腫瘍の生物学的特性をさらに明らかにし,それに基づいた診断治療を確立することが重要である.
  • 森谷 敏幸, 小澤 孝一郎, 桜井 文明, 須藤 幸一, 磯部 秀樹, 平井 一郎, 川口 清, 安食 隆, 布施 明, 木村 理
    2002 年 63 巻 4 号 p. 839-842
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1977年から2001年7月までに当科で経験した直腸脱20例(11例に他施設での手術既往あり.再発による再手術例3例を含むと23手術例となる)を対象とし,病悩期間,各術式の成績を検討した.検討項目は再発率・合併症および長期経過後の症状の改善度・満足度とした.追跡調査は電話を使用した.術式の内訳は会陰式が6例でGant-三輪法4例,粘膜縫縮法2例であった.腹式は17例で直腸剥離仙骨前固定術13例,腹腔鏡下直腸固定術2例,人工肛門造設術2例であった. Thiersch法は21例に併用した.再発率は会陰式33%(2/6),腹式(人工肛門造設術を除く)6.7%(1/15)であった.合併症はThiersch法固定糸の感染2例,弛み5例,イレウスが1例に認められた.追跡可能であった13例は全て腹式手術の症例であり,全例で満足しているとの結果であった.腹腔鏡下手術の2例も経過良好であった.直腸固定術の長期経過後の満足度は高く,再発率も低かった.
  • 篠崎 幸司, 小林 哲郎
    2002 年 63 巻 4 号 p. 843-846
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は73歳の女性.近医にて血清カルシウム値の異常を指摘されて当科へ紹介された.慢性腎不全を合併していたが透析は受けていない.患者は軽度の嗄声を訴え,血液検査ではCaが11.1mg/dl, intact PTHが500pg/mlと高値を示し,頸部CTでは甲状腺右背側に造影剤でよく染まる腫瘤を認めた.副甲状腺機能亢進症と診断し, 3腺の副甲状腺摘除を行い,術後は嗄声は消失しカルシウム値は術翌日より正常化したが,約2年経過した現在では一旦低下したintact PTH値が次第に上昇している.血清カルシウム値,腎不全の程度,腫大した副甲状腺のサイズなどにより,本症例は慢性腎不全に合併した原発性副甲状腺機能亢進症と診断した.
  • 花立 史香, 松本 勲, 吉田 政之, 山崎 四郎, 高橋 一郎, 山田 哲司
    2002 年 63 巻 4 号 p. 847-852
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    線維腺腫内に発生した浸潤性乳癌を経験したので報告する.症例は52歳,女性,左乳房痛にて来院.触診にて左C領域に径2cmの腫瘤を触知し,超音波検査およびマンモグラフィーでは線維腺腫を疑ったが確定診断のため摘出生検を行った.病理検査にて線維腺腫内に浸潤性乳管癌を認めたため乳房温存手術および腋窩リンパ節郭清を行った.リンパ節転移は認めず,術後温存乳房への放射線照射を追加した.諸家の報告を検討すると線維腺腫内乳癌の診断に最も有用な検査は摘出生検であり,マンモグラフィと超音波検査はほとんど無力である.吸引細胞診は低い正診率に止まり癌合併を見落とす可能性があった.治療法は線維腺腫内乳癌の進展様式は乳管内進展,間質浸潤ともに通常乳癌と異なるところがなく通常乳癌と同様に取り扱うべきであると考えられた.
  • 白石 憲男, 中村 彰, 垣迫 健二, 猪股 雅史, 安達 洋祐, 北野 正剛
    2002 年 63 巻 4 号 p. 853-856
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    乳癌晩期再発の8例を報告した.再発時の年齢は43歳から68歳,初回治療から再発までの期間は9年から25年であった.肝転移を生じた2例は腫瘍死に至ったが,残りの6例は生存しており,その期間は22カ月から79カ月,中央値52カ月であった.乳癌晩期再発の部位や時期は患者によって異なり,再発後の予後は再発部位と関連し,化学療法や内分泌療法による症状のコントロールが重要であった.
  • 田島 秀浩, 泉 良平, 竹下 雅樹, 永井 昇, 松村 昭宏, 村岡 恵一, 福島 亘, 角谷 直孝, 廣澤 久史, 日野 祐資, 齋藤 ...
    2002 年 63 巻 4 号 p. 857-861
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    比較的稀な転移形式である髄膜播種を伴った劇症型乳癌を経験したので報告する.症例は右乳房腫瘤と複視を主訴に外来を受診した62歳の女性.既に遠隔転移(骨,肝)を伴う右乳癌(T2, N1以上, M1, Stage IV)で,ホルモンレセプター検索のために乳房切除のみを行った.複視の原因は当初は小脳橋角部の髄膜腫によるものと考えられていたが,術後新たに脳転移が出現したため, γ-ナイフ治療を行った.これにより脳圧亢進症状は改善したが化学療法を導入する間もなく急速に進行した肺癌性リンパ管症により患者は全経過3カ月余りで死亡した.剖検では,広範な血行性転移,髄膜播種,腹膜播種および全身のリンパ節転移を認め,複視は髄膜播種が局所的に増大したことが原因であると診断された.乳癌は癌腫の中でも比較的予後良好で経過も長いとされているが,稀に発症後急速に進展して死の転帰をとる劇症型が存在する.本例は急激な経過より劇症型乳癌と考えられた.
  • 宮本 伸二, 葉玉 哲生, 濱本 浩嗣, 穴井 博文, 迫 秀則, 岩田 英理子, 嶋岡 徹
    2002 年 63 巻 4 号 p. 862-865
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,男性.身長169cm,体重66kg.特別な器具を用いず両側総腸骨動脈の拡大を伴う最大径7cmの腎下腹部大動脈瘤に対し全長12cmの小正中切開にて径腹的にYグラフト置換術を施行した.末梢側吻合は両側とも内外腸骨動脈分岐部で行った.術二日目に経口摂取を開始し術後経過良好で退院した.ほとんどの腹部大動脈置換術は小切開で可能と思われ,今後推奨される術式と考える.
  • 小杉 郁子, 村上 眞也, 三浦 将司
    2002 年 63 巻 4 号 p. 866-869
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    1999年4月から2001年8月までに当院において腹部大動脈瘤内ステントグラフト挿入術を10例経験したので報告する.危険因子として悪性疾患合併例が5例,脳梗塞が3例,心不全が1例, C型肝炎が1例であった.血管造影上,全例腎下部型で7例が総腸骨動脈まで拡張がみられ, 9例に下腸間膜動脈の開存を認めた.全例に手製のbifurcated Zstentを挿入した. 5例では片側の内腸骨動脈のcoilingを要した.術後の腹部造影CT上全例に下腸間膜動脈の閉塞がみられた.治療経過は良好であった.本術式では中枢側固定血管はもちろんのこと,末梢側固定血管の位置も重要となる.内腸骨動脈のcoilingを行った5例に腸管機能の低下は認めておらず,片側の内腸骨動脈を温存すれば,本術式は内外腸骨動脈分岐部まで拡張のみられる症例にも適応と考えられる.
  • 岡田 禎人, 鈴木 勝一, 中山 隆, 渡辺 治, 伊与田 義信
    2002 年 63 巻 4 号 p. 870-874
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は4歳の男児.主訴は右前胸部の腫瘤と右腋窩のリンパ節の腫脹.胸部CTでは右前胸壁皮下に径4cmの腫瘤を認め,右腋窩に腫脹したリンパ節を数個認めた.ガリウムシンチでは右胸部,右腋窩以外に異常なRIの集積を認めなかった.腫瘍の穿刺細胞診で軟部組織肉腫と診断し,腫瘍切除,右腋窩リンパ節郭清を施行した.病理組織学的診断は胎児型横紋筋肉腫,右腋窩リンパ節転移であった.術後経過は順調で,術後9日目に他院に転院し,化学療法,放射線療法を施行した.横紋筋肉腫の好発部位は頭頸部,四肢,泌尿生殖器,後腹膜で,本例のごとく胸部に原発する頻度は少ない.さらに胸部原発例は胸腔内に浸潤発育することが多く,本例のごとく胸部皮下に限局し,初回手術で完全切除となった症例は稀である.初回手術で切除が可能であった横紋筋肉腫は文献的にも予後良好とされ,本例も長期生存が期待される.
  • 池田 義博, 飽浦 良和, 松本 剛昌, 藤原 拓造, 村嶋 信尚
    2002 年 63 巻 4 号 p. 875-878
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性. 2年前より胸部異常陰影を指摘されていたが,放置していた. 2000年9月職場検診胸部レントゲンにて左中肺野腫瘤陰影を指摘され,胸部CTでは,左舌区にair bronchogramを有する腫瘤を認めた.悪性腫瘍を疑い,気管支鏡下肺生検するも確定診断が得られず, CTガイド下肺生検ではIow-grade B cell lymphoma,炎症性変化の疑い,という診断であった. 2000年11月,診断・治療目的にて胸腔鏡下腫瘍切除術を施行した.腫瘤は3.8×2.9×2.2cm, 肌色,弾性軟,辺縁は比較的平滑て,病理診断はMALTリンパ腫であった.術後経過は良好で,再発の兆候なく外来経過観察中である.
    肺原発悪性リンパ腫は癌に比べてはるかに稀であるが,そのうち最も多く見られるMALTリンパ腫の1例を経験した.予後は良好で, 5年生存率90%以上である.文献的考察を加えて報告する.
  • 佐野 純, 国枝 克行, 佐治 重豊, 下川 邦泰
    2002 年 63 巻 4 号 p. 879-883
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    【緒言】胸壁の良性脂肪腫が33年間に6回の手術を施行される間に悪性化し,脂肪肉腫となった症例に関し,後半の18年間を追跡しえたのでその経過を報告する.【症例】80歳,女性. 1967年と1974年に左胸部に生じた手拳大の脂肪腫を某医で切除された. 1982年には同部に再出現した腫瘍に対し当科で手術を行った.診断は良性脂肪腫であった. 1988年に再度腫瘍は増大し前回腫瘍の再発と考えた.腫瘍は大胸筋へ癒着していたので,一部合併切除し,腋窩リンパ節郭清を行った.診断は紡錘型細胞脂肪腫であった. 1991年にも再発し,前回同様紡錘型細胞脂肪腫と診断された. 1997年より左肩部に腫瘍が増大し, 2000年には左胸壁にも腫瘍が出現し急速に増大するため通算6度目の手術を施行し,高分化型脂肪肉腫と診断された.【考察】本症例では良性脂肪腫が歳月と再三の手術の影響でその性質を変え,紡錘型細胞脂肪腫からさらには分化型脂肪肉腫へと推移していったものと判断した.
  • 森脇 義弘, 伊達 康一郎, 長谷川 聡, 内田 敬二, 山本 俊郎, 杉山 貢
    2002 年 63 巻 4 号 p. 884-889
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全介助高齢者の頸部食道に嵌頓した有鈎義歯を手術的に摘出し,早期に一般管理で十分な状態に回復しえた.症例は, 83歳の男性.脳梗塞で左片麻痺,アルツハイマー型痴呆.発症3カ月前から老人施設に入所,生活能力は全介助,経鼻胃管による経腸栄養中であった.内視鏡では鉗子操作のための視野確保ができず,喉頭鏡で喉頭展開し直視下に鉗子で牽引したが摘出不能であった.義歯誤飲を,加齢による自然経過の帰結と考えるか,突発的事象と考え侵襲的治療を施行し誤飲前の全介助状態に戻すことを目指すかを,家人に十分説明,相談した上で,侵襲的ではあるが確実な治療として,緊急手術を選択した.手術は,頸部斜切開で食道下咽頭側壁を切開,義歯は気管輪状軟骨に穿通しており,摘出後,一期的に縫合閉鎖した.術後軽微な縫合不全があったが,第16病日には転院となった.
  • 谷口 正展, 小原 弘嗣, 丹羽 弘之, 増田 靖彦, 平井 利幸
    2002 年 63 巻 4 号 p. 890-894
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は50歳,男性.平成12年12月7日,胃透視で異常所見を指摘されたため上部消化管内視鏡検査を施行したところ,体下部大彎側前壁に胃粘膜下腫瘤を認めた.これに対しEUSを施行したところ胃壁外に径約35mmの内部エコー不均一な腫瘤を認めた.このため,診断的意味も含めて腹腔鏡下手術を施行したところ腫瘤は胃の漿膜面より細い茎部をもって発育するように存在し,周囲への浸潤も認めなかった.このため腫瘤を茎部で胃にわずかにかかるように切離しこれを摘出した.病理組織所見にて類円形から紡錘形の腫瘍細胞の増殖が認められ,また免疫染色にてdesmin, S-100蛋白陰性でCD34とc-kitが部分的に弱陽性であり,胃GISTと診断された.またこの腫瘍はその大きさや病理組織像からも良性腫瘍が疑われた.
    われわれはこの珍しい形態を示した胃 GIST の1例を経験したので報告する.
  • 平能 康充, 渡辺 透, 原田 猛, 山脇 優, 神林 清作, 佐藤 博文
    2002 年 63 巻 4 号 p. 895-899
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.左腹部腫瘤を自覚したため近医受診.左季肋部に腫瘤病変を認め当院紹介となった.精査の結果,腸回転異常症を伴う胃巨大粘膜下腫瘍の診断にて手術を施行した.開腹すると腸回転異常症(non-rotation type)が存在した.腫瘍は胃原発であったため幽門側胃切除術を施行した.再建はBillroth I法とし,腸回転異常に対しては予防的虫垂切除のみ施行した.摘出標本は最大径18cmの巨大な軟性の腫瘍で,病理組織学的に多角形ないし短紡錘形の大型細胞が蜜に増生していた.免疫組織染色ではCD34およびvimentinが陽性でありGIS Tuncommited typeと診断した.成人の腸回転異常症はそれ自体が稀な疾患であり,比較的新しい疾患概念であるGISTとの併存は極めて稀である.腸回転異常症は併存病変の外科的治療を困難にする可能性があり,術前診断の際に念頭に置く必要があると考えられた.
  • 藤田 美芳, 森田 高行, 宮坂 祐司, 仙丸 直人, 山田 秀久, 鈴木 善法
    2002 年 63 巻 4 号 p. 900-903
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    低用量5FU-CDDP(以下FP)による化学療法が奏効し切除された著明なリンパ節転移を伴った胃内分泌細胞癌の1例を報告する.症例は56歳,女性.近医で右季肋部痛を主訴に,胃内視鏡検査で胃癌を疑われ当院紹介される.胃内視鏡検査・胃バリウム検査で幽門前庭部後壁に粘膜下腫瘍様の隆起と幽門輪近傍に深堀れの潰瘍を認め,内視鏡下生検で低分化型腺癌が疑われた. CTでは胃壁の肥厚と#6, #8aリンパ節の腫大を認めた.胃癌の診断で2000年2月2日手術するも転移リンパ節が膵・門脈・上腸間膜静脈と強固に癒着し,切除困難のため胃空腸吻合術施行した.術後低用量FP療法行い転移リンパ節が著明に縮小し5月24日幽門側胃切除, D2郭清を施行し,胃内分泌細胞癌(ss, y1, v0, n2, stage IIIb)と診断された.術後5カ月リンパ節再発を認めるも化学療法継続し1年5カ月担癌生存中である.
  • 亀田 久仁郎, 名取 志保, 長田 俊一, 久保 章, 竹川 義則
    2002 年 63 巻 4 号 p. 904-907
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は39歳,男性.主訴は嘔吐,心窩部痛,体重減少.近医にて十二指腸腫瘤を指摘され当院に入院した.上部消化管造影では十二指腸第1部から第2部にかけての壁の不整像を認め,内視鏡検査では同部位の粘膜の発赤と狭小化が認められた.また,腹部CT検査では十二指腸壁の肥厚と十二指腸第2部と膵頭部の間に境界明瞭な20mm程の嚢腫状部分が認められた.十二指腸壁に起因する炎症性腫瘤が疑われたが悪性の可能性も完全には否定できず,膵頭十二指腸切除術(PD-IIA)を施行した.切除標本では,膵頭部に固い腫瘤を触知し,割面は白色痕痕状で一部cavityを形成していた.病理所見では高度な線維化が主体であり嚢腫状部分は線維化を伴った十二指腸壁内に存在しており膵内線維化巣と連続していた.以上より十二指腸憩室の穿通後の反応性変化が疑われた.十二指腸憩室は頻度の高い疾患であるがその穿孔(穿通)例は少い.文献的考察を加えこれを報告した.
  • 行部 洋, 塩野 恒夫, 関下 芳明, 藤森 勝, 近藤 哲, 加藤 紘之
    2002 年 63 巻 4 号 p. 908-910
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腸管嚢胞様気腫症は稀に腹腔内遊離ガス像を呈することがあり,緊急手術の対象として鑑別診断上問題となる.われわれは,胃潰瘍,精神分裂病の既往を持ち,胃潰瘍穿孔の疑いで開腹した小腸腸管嚢胞様気腫症の1例を経験したので報告する.患者は44歳,男性.主訴は腹痛. X線写真にて左右横隔膜下に腹腔内遊離ガス像を認め,緊急手術を行った.手術時,黄白色の腹水を認めたが穿孔部位は同定できず, Treitz靱帯より約1mの空腸から回腸末端までの粘膜下および腸間膜に多数の気腫状変化を認めたため,気腫性変化を強く認めた部位を切除した.病理組織では粘膜筋板より下層に著明な気腫性嚢胞を認め,腸管嚢胞様気腫症と診断された.術後経過は良好である.
  • 武市 卒之, 飯島 哲夫, 村田 滋喜, 大和田 進, 森下 靖雄
    2002 年 63 巻 4 号 p. 911-914
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    小腸・腸間膜にまたがるリンパ管腫は稀で,術前診断は比較的困難とされている.今回,腹部超音波およびCT検査で,術前に診断が可能であった症例を経験したので報告する.
    症例は4歳の男児で腹痛および嘔吐を主訴に近医を受診し,当科に紹介された.白血球の増加と腹部単純X線検査で小腸ガスおよび腸管ガスの圧排像を認めた. CTおよび超音波検査で,移動性の腫瘤像を認め待機的に手術を行った. Treitz靱帯より約50cmの空腸および腸間膜にまたがる嚢胞性腫瘤を認め,嚢腫を含めた小腸部分切除を施行した.病理組織学的には腸管壁より発生した嚢胞状リンパ管腫であった.
  • 南 有紀子, 西庄 勇, 三嶋 秀行, 辻仲 利政
    2002 年 63 巻 4 号 p. 915-918
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    今回われわれは,術前の上腸間膜動脈造影により部位診断が可能であった回腸原発GISTの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.症例は52歳,女性.貧血,下血を主訴として来院.上部消化管内視鏡,下部消化管内視鏡,小腸造影検査,腹部CT検査にて特に異常を認めなかった.下血をくり返すため入院の上,血管造影検査を施行したところ,回結腸動脈末梢部に径4cmの腫瘍濃染像を認めたため,小腸腫瘍の診断にて手術を施行した.回腸末端より約35cm口側の回腸に,漿膜面に血管の怒張した径4cmの管外隆起性病変を認め,術中内視鏡にて同部位の管腔面にびらんを認めた.腫瘍を含む回腸部分切除術を施行した.病理組織学的には短紡錘形でvesicularな核を有する腫瘍細胞の増殖がみられ,免疫染色では筋原性・神経原性のマーカーは陰性であったが,間葉系のマーカーであるvimentinとCD34が陽性であった.以上より回腸原発のgastrointestinal stromal tumor (GIST)と診断された.
  • 藤木 健弘, 橋本 幹稔, 倉持 均, 永川 祐二, 堺 浩太郎, 山田 勝博
    2002 年 63 巻 4 号 p. 919-922
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    90歳,女性の小腸癌による腸重積症を経験した.腹痛と嘔吐を主訴に来院.腹部CT検査で上部小腸におけるtarget like appearanceを認め,腸重積症の診断で手術を施行した.術中所見ではTreitz靱帯から約10cmの空腸が肛門側に向かって嵌入していた.用手整復が困難であったため,空腸部分切除術を施行した.切除標本では先進部に一致して腫瘤を認め,病理組織学的には高分化腺癌であった.
    1981年から2001年の本邦における小腸癌による成人腸重積症の集計で,自験例は6例目であった.
  • 石田 智美, 藤野 一平, 東 崇明
    2002 年 63 巻 4 号 p. 923-926
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    不完全型虫垂重積症の1例を経験したので報告する.症例は30歳,男性,右下腹部痛,微熱を主訴として来院した.大腸内視鏡検査では虫垂開口部に炎症を伴った隆起性病変を認めた.腹部CT所見では虫垂は腫大し層状構造(targetsign)を認めた.注腸検査所見では虫垂は造影されず盲腸内側に隆起性病変を思わせる陰影欠損を認めた.以上の所見より虫垂重積症と診断し手術を施行した.開腹所見では虫垂は2×4.5cmと腫大していた.虫垂切除を行い手術を終了した.切除標本では遠位側虫垂が近位側虫垂内へ重積する不完全型虫垂重積症であった.
  • 村上 真基, 宗像 康博, 林 賢, 西村 秀紀, 町田 恵美
    2002 年 63 巻 4 号 p. 927-931
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    急性虫垂炎で発症した虫垂杯細胞カルチノイドの2例を経験した.症例1は35歳の男性.右下腹部痛を主訴に来院し,急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を行った.病理組織学的に急性虫垂炎と独立して杯細胞カルチノイドの合併を認めた.腫瘍細胞の固有筋層への浸潤を認めたため,初回手術後37日目に腹腔鏡補助下2群郭清回盲部切除術を行った.追加切除標本には腫瘍細胞を認めなかった.症例2は76歳の女性.右下腹部痛を主訴に来院し,急性虫垂炎の診断で虫垂切除術を行った.病理組織学的に急性虫垂炎とともに杯細胞カルチノイドの合併を認めた.切除断端部に腫瘍の遺残を認めたため,初回手術後14日目に腹腔鏡補助下2群郭清回盲部切除術を行った.追加切除標本の病理組織診断で1群リンパ節1個に転移を認めた. 2例とも術後5年経過して再発を認めていない.虫垂切除術後の病理組織学的検索の重要性が再確認された.
  • 歌田 貴仁, 渡辺 俊明, 芳賀 駿介, 小川 健治, 梶原 哲郎, 相羽 元彦
    2002 年 63 巻 4 号 p. 932-935
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    消化管脂肪腫は通常は無茎性,有茎性に粘膜下腫瘍の形態を示し,内視鏡, CT検査などで特異的所見を呈するので診断は比較的容易と考えられる.われわれは,注腸造影で全周性狭窄像,いわゆるapplecoresignを呈した結腸脂肪腫を経験した.症例は60歳,男性,腸閉塞で入院し注腸検査で大腸癌と診断したが,大腸内視鏡検査で否定された.非上皮性腫瘍の診断で開腹手術を行った.上行結腸に10cm大の腫瘤が存在し,悪性も否定できず結腸右半切除術を施行した.病理学的には固有筋層から漿膜側に連続して脂肪組織病変が存在した.成熟した脂肪細胞で悪性所見はなく脂肪腫と診断した.
  • 内田 寿博, 塚本 義貴, 中尾 照逸
    2002 年 63 巻 4 号 p. 936-939
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.粘血便を主訴に来院され,直腸鏡および注腸検査にて全大腸炎型,重症の潰瘍性大腸炎と診断し入院となった.ステロイド投与と腸炎食にて軽快したが,ステロイドを減量していく過程で,腹部単純X線にて横行結腸の著明な拡張を認め,巨大結腸症と診断した.しかし中毒症状は認めず,保存的治療にて横行結腸径は縮小し,巨大結腸症は軽快した.しかしその後,腹膜炎症状出現のため保存的治療の限界と考え,大腸亜全摘術を施行し,回腸人工肛門を造設した.摘出標本では上行結腸,横行結腸右側が穿孔寸前にまで脆弱化していた.術後経過は比較的良好であった.
    診断から手術に至るまでに長期間を要した高齢発症の潰瘍性大腸炎について,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 冨岡 英則, 青木 達哉, 佐藤 晋, 田村 和彦, 小方 二郎, 小柳 泰久
    2002 年 63 巻 4 号 p. 940-944
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    大腸脂肪腫は比較的稀な粘膜下腫瘍であるが径が大きくなるにつれ,腸重積を合併して発見される頻度が高い.今回われわれは術前にCT,内視鏡検査にて脂肪腫の診断を得て腹腔鏡補助下手術を選択できた症例を経験したので報告する.症例は77歳,男性.左下腹部痛にて近医を受診,注腸造影にて下行結腸下端に表面平滑な円形腫瘤とcoiled spring signを認め,腸重積の診断にて当院紹介となる. CTにて下行結腸内腔に径約3cmの内部が-93HDと脂肪組織に近い濃度のCT値を示す円形の腫瘤を認めた.内視鏡検査ではcushionsignを示す柔らかな粘膜下腫瘍の所見を示しており大腸脂肪腫と診断,腹腔鏡補助下に結腸部分切除を行った.病理組織検査では5×2.5×2.7cm大の成熟した脂肪腫で,漿膜下より発生し腸管内腔に向かって亜有茎性,気球状の発育を示していた.巨大な大腸脂肪腫で術前に質的診断が得られた症例は侵襲の少ない腹腔鏡補助下手術の良い適応であると考えられる.
  • 小出 一樹, 加藤 良二, 杉下 雄為, 田中 宏, 朴 英進, 山口 宗之
    2002 年 63 巻 4 号 p. 945-949
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肛門からの腫瘤脱という稀な発症形式を呈した大腸脂肪腫の1例を経験した.症例は34歳,男性. 1997年排便時に肛門から拇指頭大の腫瘤が脱出した.その後腫瘤は次第に増大し, 2000年6月には手拳大となり還納が困難となった. 2000年7月16日排便時,腫瘤の脱出と共に下血が認められたため受診した.腫瘤はS状結腸に主座を置く直径約8×6cmの巨大な粘膜下腫瘍と診断され,これを先進部としての腸重積をきたし腫瘍が肛門から脱出したものと考えられた.同年8月25日手術施行,腫瘍径は3×2.5×2.5cmと縮小しており,病理学的に脂肪腫と診断された.脂肪腫では腫瘤径が4cmを超えると腸重積を合併する症例が多くなるとされる.また自壊により変形脱落することがあり,そのこと自体が脂肪腫の診断における重要な特徴であるともいわれる.本症例においても初診から手術までに約5週間が経過しており,この間に腫瘍の自壊脱落が生じたものと考えられた.
  • 寺邊 政宏, 小林 美奈子, 小池 宏, 藤岡 正樹, 入山 圭二
    2002 年 63 巻 4 号 p. 950-953
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腹膜偽粘液腫の原発巣のほとんどは虫垂または卵巣である.今回,稀なS状結腸原発の腹膜偽粘液腫を経験した.症例は59歳,女性.腹部腫瘤,機械性腸閉塞にて入院となった.右下腹部に境界明瞭で表面平滑,成人頭大の腫瘤を認めた.術前検査でS状結腸の狭窄とそれに連続する充実性部分を伴った嚢胞性腫瘤を認めた.手術は腫瘤,S状結腸,小腸,両側卵巣,子宮,虫垂切除を施行した.嚢胞内は膿と粘液様物質で充満し,S状結腸から嚢胞内に連続する腫瘤を認めた.組織学的にS状結腸粘膜面は腺管絨毛腺腫内高分化型腺癌で深層に進むにつれ粘液癌の像を呈していた.手術後6カ月で腹腔全体に粘液が充満する状態となり,悪液質のため死亡した.本症例は虫垂,卵巣に粘液産生腫瘍を認めず,結腸原発の腹膜偽粘液腫と診断した.
  • 池永 雅一, 関本 貢嗣, 山本 浩文, 池田 正孝, 三宅 泰裕, 門田 守人
    2002 年 63 巻 4 号 p. 954-957
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,女性.主訴は下血.既往歴に昭和31年に,子宮頸癌に対して子宮全摘術,放射線治療(術前経膣内照射+術後コバルト外照射,照射線量不詳)を受けている.下血のため注腸X線検査および内視鏡検査受けたところ直腸癌と診断され,腹会陰式直腸切断術を施行された.切除標本肉眼所見では潰瘍性病変を認め,明らかな周堤隆起はなく,周囲の直腸粘膜は瘢痕肥厚し萎縮していた.病理組織診断では中分化型腺癌, a1, ly1, v0, n0, stage II.周辺粘膜は萎縮し,粘膜下層および漿膜下の線維組織の増生を認め,背景粘膜は放射線性腸炎の晩期像を示していた.以上より放射線誘発直腸癌と考えられた.骨盤部に放射線照射を施行された症例では,二次発癌も考慮に入れた経過観察が必要であると考えられた.
  • 本田 勇二, 河野 哲夫, 日向 理, 飯野 弥, 山田 治樹, 宮坂 芳明, 江口 英雄, 松本 由朗
    2002 年 63 巻 4 号 p. 958-963
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    直腸癌多発肝転移(H3)に肝動注療法が著効し,その残存直腸に直腸癌が発生した1例を経験したので報告する.
    症例は56歳,男性. 4年前直腸癌の診断で低位前方切除術を施行した.術後血清CEAの高値を認め,精査により肝転移を認めた.術後6カ月より5-FU: 500mg+CDDP: 10mg (1回/w)の肝動注療法を開始し, 11カ月間行った.血清CEA値は肝動注開始後3カ月で正常値になりその後再上昇は認めなかった.肝動注療法終了後,外側区域切除術,尾状葉部分切除術を施行した.切除した全ての肝臓には病理組織学的にviableな癌細胞を認めなかった.肝切除後14カ月間5'-DFURを投与し,再発を認めなかったため中止した.今回,肛門部痛と下血が出現し,残存直腸に直腸癌を認め,腹会陰式直腸切断術を施行した.病理組織検査にて残存直腸に新たに発生した直腸癌と診断した.
  • 広瀬 由紀, 松下 利雄, 山本 広幸, 藤井 秀則, 田中 文恵
    2002 年 63 巻 4 号 p. 964-966
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    若年者大腸粘液癌で播種性骨髄癌症をきたした症例を経験したので報告する.症例は37歳男性で,直腸癌に対し直腸切断術を施行した.病理診断は粘液癌であった.手術から約1年後に腰痛,発熱と血尿をきたした. MRIおよび骨シンチグラムにて腰椎を中心としたびまん性の骨転移を認め,血液検査では血小板の減少そして末梢血でのleucoerythroblastosisがあり,播種性血管内凝固症候群(DIC)を伴う播種性骨髄癌症と診断した.化学療法を施行したが,約3カ月後に死亡した.若年者大腸癌,大腸粘液癌そして大腸癌における播種性骨髄癌症に対して文献的考察を加えた.
  • 伴 大輔, 寺本 研一, 川村 徹, 宇田川 勝, 岩井 武尚, 有井 滋樹
    2002 年 63 巻 4 号 p. 967-971
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/08/24
    ジャーナル フリー
    症例は64歳,女性. 20年前より, B型肝炎ウィルス感染を指摘され,他院内科にてフォローされてきたが, 1999年1月,肝S8ドーム直下に径1.5cmの肝細胞癌を指摘され, 2回の人工腹水法を併用した経皮的マイクロターゼ焼灼と, 1回の動脈塞栓術を施行されたが,局所コントロールすることができなかった.今回われわれは胸腔鏡下のマイクロターゼ焼灼によって治療しえたので報告する.
  • 村松 友義, 丸高 雅仁, 松三 彰, 渡邊 直美, 村上 和春, 能勢 総一郎
    2002 年 63 巻 4 号 p. 972-977
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性,発熱を主訴に来院した.血液生化学検査では白血球増多およびCRPの上昇を認めた.腹部超音波にて肝S4を主座とする径6cm大のhaloを有するhypoechoicな腫瘤を認めた.腹部単純CTではLDA, 造影CTでは若干不均一に造影され,腹部MRIでは, T1でlow intensity, T2でhigh intensity,ガドリニウムによる造影では不均一に造影された.腹部血管造影では腫瘤はhypovascularであった.生検では肉腫の疑いであったが, inflammatory pseudotumorや転移性肝癌も否定できなかった.手術は肝中央2区域切除術を行った.病理組織所見では主として紡錘形の異型細胞からなり,免疫染色ではvimentinのみ陽性であったが,所々でsinusoidal patternがみられることより肉腫様変化を伴った肝細胞癌と診断された.
    本疾患は術前診断が難しい上予後が極めて悪いため早期発見,早期手術が望まれる.
  • 村岡 恵一, 田島 秀浩, 福島 亘, 角谷 直孝, 廣澤 久史, 泉 良平, 日野 祐資, 斎藤 勝彦
    2002 年 63 巻 4 号 p. 978-982
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    乳癌の肝転移は他臓器の再発に比べ予後不良で再発乳癌のlimiting factorとして重要視されている.肝転移の切除後4年10カ月無再発生存中の1例を経験したので報告する.症例は63歳,女性.平成6年4月11日,左乳癌T1N0M0 (Stage I)の診断で胸筋温存乳房切除術を施行した.病理組織学的診断はt1n0m0 (stage I), invasive ductal carcinoma, scirrhous, ER (-)であった.以後,外来にて内分泌化学療法を施行し経過観察中,平成9年1月に施行された腹部超音波検査,腹部CT検査にて肝S6/7一部S8に径約4cmの孤立性腫瘍を認めた.その他,肺,骨などに明らかな病変を認めず,肝単独孤立性転移と診断し平成9年2月14日肝右葉切除術を施行した.病理組織検査で乳癌の肝転移と診断した.肝切除術後4年10カ月,再発の徴候を認めず,外来通院中である.
  • 永井 英雅, 金井 道夫, 濱口 桂, 山田 英貴, 朴 哲浩, 佐藤 健一郎
    2002 年 63 巻 4 号 p. 983-988
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性,黄疸を主訴として当院を受診. MRCPにて肝門部胆管狭窄による閉塞性黄疸と診断した.経皮経肝胆道ドレナージ(PTCD)を施行し右前区域枝および後区域枝から三管合流部の下流側にかけて境界不明瞭な狭窄を認めた.胆汁細胞診は核異型とmitosisを認め癌と診断した.以上より肝門部胆管癌の術前診断で拡大肝右葉切除,尾状葉全切除を施行した.切除標本では慢性胆嚢炎による肝門部胆管狭窄と診断した.また,胆管狭窄部とは別に肝内胆管に異型上皮を認め,これが胆汁細胞診で癌と診断した病巣と思われた.本例は癌との鑑別が困難な胆管像を呈したという点できわめて興味深いだけではなく,肝内胆管に合併した異型上皮により胆汁細胞診で癌陽性と診断され質的診断はきわめて困難だった.
  • 白相 悟, 鈴木 正徳, 海野 倫明, 片寄 友, 力山 敏樹, 竹内 丙午, 松野 正紀
    2002 年 63 巻 4 号 p. 989-993
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    動物性微線維性コラーゲン(アビテン®)の大量な胆嚢床への貼付・留置により炎症性腫瘤が形成され,肝外胆道閉塞・黄疸に至った稀な症例を治療する機会を得た.症例は68歳,女性.胆嚢結石症の診断で開腹胆嚢摘出術が施行された.翌日よりビリルビン値の上昇を認め,中部胆管の閉塞が確認された.再開腹術が施行されたが高度の炎症で総胆管は腫瘤状を呈して切除不能であり,悪性も疑われたため当科に紹介された.開腹術施行したところアビテン®を内部に含む膿瘍が確認され,その炎症の波及に伴う胆管閉塞と判明した.強力な止血作用が認められている微線維性コラーゲン止血剤であるが,異物反応による合併症を併発することもあり,用法通り止血後余剰分は可及的に除去する必要性が痛感させられた症例であった.
  • 水谷 憲威, 飯田 辰美, 後藤 全宏, 宮原 利行, 中山 崇
    2002 年 63 巻 4 号 p. 994-999
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は96歳,女性.主訴は上腹部痛,嘔吐.腹部全体が軽度膨満し,右上腹部を中心に圧痛を認めた.血液検査上,白血球数とアミラーゼの上昇を認めた.腹部CT上,腹腔内に多量の遊離ガス像と腹水貯留を認めた.また,肝被膜下のガス像,肝内胆管内のガス像,膵臓後面および右腎周囲の後腹膜気腫像も認められた.消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,緊急手術を施行した.腹腔内に膿性腹水が貯留し,肝十二指腸間膜や肝結腸間膜に壊死性変化を認め,肝後区域に気泡を伴う被膜下膿瘍を認めた.胆嚢に胆石胆嚢炎の所見を認めたが,消化管穿孔は認めなかった.胆嚢摘出,壊死組織の切除,肝被膜下膿瘍切開,腹腔ドレナージを行った.摘出標本の病理組織所見上,胆嚢の漿膜下組織に壊死を認め,ガスを含有したと思われる多数の空胞や嫌気性菌を疑わせる桿菌の菌体も認められた.多彩なガス像ないし気腫像を呈した超高齢者の急性気腫性胆嚢炎の1例を経験したので,本邦報告例235例の集計および文献的考察を加えて報告する.
  • 舟塚 雅英, 佐藤 仁俊, 小野 恵司, 矢野 誠司
    2002 年 63 巻 4 号 p. 1000-1004
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    胆嚢の形態的な先天性奇形である重複胆嚢は,非常に稀な疾患である.今回われわれは,術前の胆道造影にて確定診断しえた重複胆嚢1例を経験した.症例は69歳,女性.主訴は心窩部痛.術前のERCで,副胆嚢に胆石症を伴うBoyden分類Y型, Gross分類A型の重複胆嚢と診断された.副胆嚢の位置関係から肝・胆道損傷の危険があるため,開腹下に主・副両胆嚢摘出術を行った.本疾患の本邦報告例からは,胆嚢憩室,砂時計胆嚢などの類似疾患を除外し,確定診断を付けるためには胆道造影が不可欠であり,加えて副胆嚢には結石が高頻度にみられ,胆嚢癌が合併することも念頭に置く必要があると考えられた.また,胆嚢管の合流形態を把握し,安全な手術を行うためにも胆道造影は有用であると考えられた.一方,症例によっては,腹腔鏡下胆嚢摘出術も選択し得ると思われた.
  • 山崎 真敬, 滝沢 建, 市川 雅, 吉岡 政洋, 岩崎 靖士
    2002 年 63 巻 4 号 p. 1005-1008
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は56歳の女性で,膵頭部の非機能性膵島細胞腫の診断にて,膵分節切除・尾側膵空腸吻合術を施行した.腫瘍は11mm×15mm大と極めて小さい段階で発見され, ERCP, MRCPなどにて主膵管に狭窄を認めた.組織学的にも良悪性を鑑別することが困難であるといわれているが,本症例では腫瘍が浸潤性に増殖し,また,血管壁への浸潤も伴うことから,生物学的に悪性の範疇に属すると考えられた.非機能性膵島細胞腫は特有な症状に欠け,検査値にも大きな異常を認めないことから腫瘍がかなりの大きさになって発見される例が多いが,原発巣の切除が可能であれば5年生存率は72%と良好であり,肝転移を有する場合でもTAEなどが有効であること,また小さなものでも悪性例が報告されていることから積極的に切除術を行う必要があると考えられる.
  • 柴地 隆宗, 吉村 淳, 金村 哲宏, 吉川 高志
    2002 年 63 巻 4 号 p. 1009-1012
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    低ゴナドトロピン性性腺機能低下症と結節性硬化症に大腸癌を合併した1例を経験した.症例は36歳,男性.腹部膨満感を訴え,来院した.入院時現症では腹部の圧痛,膨満を認め,また,顔面の脂腺腫・性器の発育不全を認めた.てんかんを指摘されており,他院で治療を受けていた.諸検査にて,回盲部腫瘤による腸閉塞と診断,当日手術を施行した.開腹所見では,盲腸癌であった.術後2・3日目にてんかん発作を認めた他は経過順調であった.テストステロン補充療法・抗癌剤投与を行ったが,1年6カ月で再発し,死亡した.
    結節性硬化症は顔面の皮疹・痙攣発作・知能発育遅延を3主徴とする疾患である.本症例の低ゴナドトロピン性性腺機能低下症は思春期前より低ゴナドトロピン状態が持続し, 2次成長を欠いた類富官体型を呈する例であった.
  • 蛭川 浩史, 遠藤 和彦, 後藤 伸之, 畠山 悟, 冨田 広, 木村 愛彦
    2002 年 63 巻 4 号 p. 1013-1017
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.右下腹部痛を主訴に来院した.同部位に腫瘤を触知し,虫垂腫瘍が疑われ手術を施行.開腹所見では虫垂に腫瘍性病変や急性炎症所見は認められなかったが,大網が腫瘤状に取り巻いていたため,虫垂切除術および大網部分切除術を行った.腫瘤状の大網内には魚骨を認め,虫垂壁には組織学的に異物型巨細胞の出現を伴う慢性炎症所見が認められた.よって自験例の腹部腫瘤は虫垂を穿通した魚骨による大網の炎症性腫瘤と診断された.魚骨が虫垂に臨床的に問題となるような急性炎症をきたすことなく穿通し大網の炎症性腫瘤を形成した症例は稀であり,かつ自然閉鎖したと考えられる虫垂壁の組織学的変化を観察できたという点で自験例は興味深い症例と考えられた.同様の症例の報告はわれわれの検索した範囲では認められなかった.原因不明の腹腔内腫瘤症例では異物による炎症性腫瘤の存在を念頭におくことが過大手術を避けるためにも重要と考えられた.
  • 月岡 雄治, 矢ヶ崎 亮, 中野 達夫, 上野 桂一, 佐久間 寛
    2002 年 63 巻 4 号 p. 1018-1021
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    63歳,男性.平成10年3月10日, Ra領域の2型直腸癌に対して,直腸低位前方切除術,胆襄結石症に対して胆襄摘出術を施行した.術後3日目より1日2回の38度以上の弛張熱を認め,術後3日目に行った血液培養よりカンジダが検出され,β-Dグルカン値300pg/ml以上より深在性真菌症と診断し,術後6日目に中心静脈栄養(IVH)カテーテルを抜去,フルコナゾール400mg/日を6週間投与した.また,抜去したIVHカテーテル先端培養からもカンジダが検出された.背部痛に対して7月上旬に行ったGaシンチ, CT, MRIにて真菌性脊椎炎と診断し,約2カ月間保存的加療を行ったが改善せず画像上脊髄の圧迫所見を認めたため,第8,第9,第10胸椎椎体病巣掻爬および前方固定術を施行した.掻爬部の培養からCandida tropicalisが検出された.
    本症例は,術後IVHカテーテル感染から深在性真菌症を引き起こし, 4カ月後に真菌性脊椎炎を発症した稀な1例と考えられた.
  • 菅谷 義範, 成田 公昌
    2002 年 63 巻 4 号 p. 1022-1025
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腹壁ヘルニアは,手術後あるいは外傷後の疲痕ヘルニアの頻度が高い.今回,手術や外傷の既往のない,臍上方に発生した上腹壁ヘルニアの1例を経験した.患者は82歳,女性で,腹痛にて近医を受診した.腹部は軟で,臍を中心に手拳大に膨隆していたが圧痛は軽度であった.腹部CTにて筋膜の欠損と同部位よりの腸管の脱出を認め,腹部単純X線で腸閉塞を認めたため腹壁ヘルニアと診断し手術目的で入院した.腸管の還納が容易で嵌頓がなかったので緊急手術は行わなかった.手術所見ではヘルニア門は臍の上部に存在し,臍との交通はなかった.脱出腸管は横行結腸で,腸管の血流は良好であったので腸管は切除せず還納し,腹壁を一期的に縫合して手術を終了した.上腹壁ヘルニアは比較的稀で本邦では文献で30例が報告されているにすぎない.その原因としては筋膜欠損や腱膜線維の交差の異常などの諸説がある.治療は手術による修復が第一選択である.
  • 佐藤 裕英, 深谷 毅, 大中 正光
    2002 年 63 巻 4 号 p. 1026-1030
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は79歳の女性で,心不全加療目的に入院中に心窩部不快感,嘔気,嘔吐を主訴に当科紹介となった.初診時,腹部の膨満を認めたが疹・圧痛を認めず,筋性防御も認められなかった.腹部X線写真上イレウス像を呈しており, CT上盲腸周囲の炎症性変化と同部に入り込む形で存在する小腸を認めたことから盲腸窩ヘルニアを疑い得た.保存的加療の上さらなる精査を実施した結果,盲腸窩ヘルニアと診断し,心不全の軽快した後に待期的に手術を実施した.開腹所見では回盲部より約30cm口側の回腸が盲腸後窩に形成された異常な裂孔内に嵌頓していた.嵌頓した腸管は約5cmで同腸管を腹腔内に還納した後に裂孔を閉鎖し手術を終えた.盲腸窩ヘルニアの本邦報告例は自験例を含め42例で,術前診断が困難であり緊急手術を要することが多いが,同疾患を念頭に置くことで術前診断が可能であると考えられた.
  • 中村 肇, 原田 明生, 榊原 巧, 石川 忠雄, 矢口 豊久, 村上 裕哉
    2002 年 63 巻 4 号 p. 1031-1035
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    転移性脈絡膜腫瘍の原発巣の大部分は乳癌と肺癌であり,消化器癌が原発である症例は非常に少ない.今回われわれは上行結腸癌根治術後7カ月で両肺転移をきたしたために全身化学療法を施行した結果,肺病変に関してはCRを得られていた患者が,その後に転移性脈絡膜腫瘍をきたした症例を経験した.症例は79歳,男性で主訴は右目の霧視である.平成11年3月に上行結腸癌の診断で結腸右半切除を施行.同年10月末には両肺に腫瘤性病変を認めた.平成12年1月よりUFT内服と5-FUの24時間持続静注による全身化学療法を行ったところ両肺の腫瘤性病変は消失し,その後も引き続き化学療法を施行した.平成12年9月に右目の霧視を自覚したため,精査を行ったところ転移性脈絡膜腫瘍と診断された.眼病変に対して放射線治療を行ったところ腫瘍性病変は縮小したが,視力の回復は得られなかった.
  • 仲 至永, 吉川 澄, 江本 節, 藤川 正博, 藤井 眞, 吉岡 泰彦
    2002 年 63 巻 4 号 p. 1036-1039
    発行日: 2002/04/25
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.平成6年4月8日胃癌に対し胃全摘術を施行.病理学的所見は, papillary adenocarcinona, ssγ, noであった.術後再発傾向なく外来にて経過観察中,平成11年9月に左乳房腫瘤に気付き,増大傾向を認めるため,平成11年12月に受診した.左乳房E領域に2.7×2.4cmの比較的硬い腫瘤を触知し,左腋窩に径10mmのリンパ節を2個触知した.超音波検査では,左乳頭直下に2.5×1.0cmの低エコーで内部均一,境界明瞭な腫瘍を認めた.穿刺吸引細胞診ではclass lVであり,乳癌を疑い,平成12年1月7日腫瘍摘出術を行い,術中迅速細胞診にて,浸潤性乳管癌と診断されたため,定型的左乳房切断術を施行した.組織型は充実腺管癌, n2であった.術後CEFとTAM療法を施行した.術後1年10カ月した現在,再発徴候なく健在である.
    男子乳癌と胃癌の重複癌の報告例は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
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