日本臨床外科学会雑誌
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十二指腸憩室の穿通が原因と考えられた膵頭部腫瘤の1例
亀田 久仁郎名取 志保長田 俊一久保 章竹川 義則
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2002 年 63 巻 4 号 p. 904-907

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抄録

症例は39歳,男性.主訴は嘔吐,心窩部痛,体重減少.近医にて十二指腸腫瘤を指摘され当院に入院した.上部消化管造影では十二指腸第1部から第2部にかけての壁の不整像を認め,内視鏡検査では同部位の粘膜の発赤と狭小化が認められた.また,腹部CT検査では十二指腸壁の肥厚と十二指腸第2部と膵頭部の間に境界明瞭な20mm程の嚢腫状部分が認められた.十二指腸壁に起因する炎症性腫瘤が疑われたが悪性の可能性も完全には否定できず,膵頭十二指腸切除術(PD-IIA)を施行した.切除標本では,膵頭部に固い腫瘤を触知し,割面は白色痕痕状で一部cavityを形成していた.病理所見では高度な線維化が主体であり嚢腫状部分は線維化を伴った十二指腸壁内に存在しており膵内線維化巣と連続していた.以上より十二指腸憩室の穿通後の反応性変化が疑われた.十二指腸憩室は頻度の高い疾患であるがその穿孔(穿通)例は少い.文献的考察を加えこれを報告した.

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