日本臨床外科学会雑誌
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横行結腸癌を合併したターナー症候群の1例
四元 文明松尾 隆志杉江 知治船木 なおみ野中 敦大塩 学而
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2002 年 63 巻 6 号 p. 1481-1485

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抄録

ターナー症候群に消化器系の悪性腫瘍が合併することは極めて稀である.今回,本邦では第1例目と思われる横行結腸癌を合併したターナー症候群の1例を経験したので報告する.症例は40歳,女性.便秘・肝機能障害を主訴に受診.注腸造影検査・腹部CT検査にて多発性肝転移を伴う横行結腸癌と診断され入院.原発性無月経の経歴と低身長・眼瞼下垂・顔面白斑・翼状頸・被髪部低位・楯状胸・乳房未発達・陰毛欠如などの身体所見があり,染色体検査にて45, X/46, X, i (Xq)のモザイク型ターナー症候群と判明した.横行結腸切除(D3)と共に肝外側区域・S5亜区域切除術を施行した.ターナー症候群に合併する非性腺系悪性腫瘍では,唯一結腸癌にのみ相関ありとする報告があり,本邦では自験例が第1例目と考えられる.ターナー症候群においては結腸癌の合併も念頭において診療にあたる必要がある,と考えられた.

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