日本臨床外科学会雑誌
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大腸多発癌術後に発生した非顆粒型の大腸側方発育型腫瘍の1例
山田 治樹中島 克仁飯野 弥長谷川 博雅江口 英雄藤井 秀樹松本 由朗
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2002 年 63 巻 7 号 p. 1741-1746

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抄録

症例は57歳の男性. 6年前,盲腸とS状結腸の多発癌に,胃癌を併存した重複癌に対して,結腸右半切除術, S状結腸部分切除術,胃全摘術を施行した.術後のfollow upの大腸内視鏡検査で,直腸S状部に直径20mm大の病変を指摘された.色素撒布にて,腫瘍の中央部は局面を有さない陥凹のV型pit pattern,辺縁部は花弁状のIIIL型pit patternであった.大腸側方発育型腫瘍の非顆粒型病変,深達度SM以深の浸潤癌と診断し,直腸高位前方切除術(D2)を施行した.病理組織学的には,深達度mの高分化腺癌で,腫瘍の辺縁部に,中~高度異型を伴った腺管絨毛腺腫の併存を認めた.癌抑制遺伝子p53蛋白は,癌部,腺腫部共に過剰発現を示した. Microsatellite instabilityの解析では,初回手術で切除した3臓器を含めmicrosatellite stabilityであった.

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