日本臨床外科学会雑誌
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胃癌術後にMRSAによる頸椎椎間板炎を合併した1例
石田 祐一正岡 直子山崎 洋次青木 照明
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キーワード: 胃癌, 頸椎椎間板炎
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2002 年 63 巻 9 号 p. 2295-2298

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抄録

化膿性脊椎炎の中でも頸椎および頸椎椎間板での発症は多くはない.われわれは胃癌手術後にMRSAによる頸椎椎間板炎を合併した1例を経験した.症例は60歳男性,噴門部胃癌に対して噴門側胃切除空腸間置再建を施行したが,縫合不全による腹膜炎を併発し術後7日目に開腹ドレナージ術を施行した.術後MRSAによる肺炎と敗血症を合併したがその後軽快した.しかし初回手術後67日目に突然両側上下肢の知覚低下と脱力感が出現し頸椎MRIで第4, 5頸椎椎間板炎と診断した.麻痺の進行を認めたため71日目に病巣掻爬および前方固定術を施行した.掻爬された椎間板組織から起因菌としてMRSAが同定された.術後経過は良好で機能訓練の後,術後176日目に退院した.消化器癌術後などのcompromised hostが,頸部や腰背部の疼痛,感染症状を呈した場合,化膿性脊椎炎の可能性を考慮するべきである.

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