日本臨床外科学会雑誌
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敗血症へと進展した蜂窩織炎性結腸炎の1例
萩原 淳中房 祐司濱本 隆浩佐藤 清治宮崎 耕治
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2003 年 64 巻 1 号 p. 126-130

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抄録
症例は62歳,男性で10年前よりB型肝炎による肝硬変にて加療中であった. 2001年2月25日,発熱を伴う腹痛が出現し,翌日当院を受診した.腹部全体に筋性防御と反跳圧痛を認め,腹部CT検査では上行結腸の著明な壁肥厚がみられたので同日,緊急手術を施行した.腹腔内全体に膿性腹水を認め,盲腸から肝彎曲部にかけての結腸は暗赤色調を呈し,壁肥厚が著明であった.右半結腸切除術・回腸人工肛門造設術・腹腔内洗浄ドレナージ術を行った.術直後より敗血症性ショックの状態となったため,エンドトキシン吸着療法(PMX)を開始し, PMX施行中より体温,血圧などは改善傾向を認めた.全身状態は徐々に改善して術後3カ月目に退院した.手術時の血液,腹水の細菌培養より大腸菌が検出され,切除標本の病理組織学的診断は蜂窩織炎性結腸炎であった.救命報告の少ない重症化した蜂窩織炎性結腸炎であっても,病変部腸管切除と集中治療により救命しえると考えられた.
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