日本臨床外科学会雑誌
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脾腫瘍切除例の検討
田村 晃金子 弘真高木 純人片桐 敏雄前田 徹也柴 忠明
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キーワード: 脾腫瘍, 転移性脾腫瘍
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2003 年 64 巻 1 号 p. 189-193

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抄録

当教室で経験した脾嚢胞,悪性リンパ腫を除いた脾腫瘍切除症例6例に対し臨床的検討を加えた.内訳は,海綿状血管腫と過誤腫の良性腫瘍2例,血管肉腫と悪性繊維性組織球腫の原発性悪性腫瘍2例,卵巣癌・子宮癌術後の異時性孤立性転移性腫瘍2例であった.原発性悪性腫瘍の2例は腹痛を主訴としたが,他4例は無症状であった.画像検査では, US, CTとも各々特徴的な所見は呈さず,確定診断は全例切除標本によってなされた.原発性悪性腫瘍の2例は術後6カ月以内に死亡したが,他は生存中である.
良性・悪性を問わず脾腫瘍は極めて稀な病変である.現状において原発性悪性腫瘍は,無症状のうちでの早期発見,早期治療しか予後が期待できない.また,転移性腫瘍の中には孤立性転移も稀にあり,適切な術後経過観察は予後に極めて重大な影響を及ぼす可能性があり,積極的摘脾術を考慮すべきである.

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