日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
急性虫垂炎と診断して手術を行ったクラミジア骨盤腹膜炎の6例
花城 徳一石川 正志西岡 将規菊辻 徹柏木 豊三木 久嗣
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 64 巻 1 号 p. 198-201

詳細
抄録
Chlamydia trachomatis (CT)が急性卵管炎や骨盤腹膜炎を引き起こした際,急性虫垂炎の診断で手術が行われる場合がある.われわれは急性虫垂炎と診断し虫垂切除術を行った6例のCT骨盤腹膜炎症例を経験したので報告する.当院で平成6年4月から平成11年9月までに13歳以上の女性で虫垂切除術を行ったのは56例で,そのうちCT骨盤腹膜炎は6例であった.自験例のCT骨盤腹膜炎症例の主訴は右下腹部痛で, McBurney点の圧痛は6例中6例(100%),腹膜刺激症状は6例中5例(83%)に認められた.しかし白血球増加例は6例中3例(50%)にしか認められなかった.術中に腹水は全例に認められた. (まとめ)若年女性の右下腹部痛で,炎症所見が軽度なわりに腹水貯留を認める症例はCT骨盤腹膜炎の可能性が高いと考えられた.不必要な手術を避けるためにも女性の急性腹症患者を診察する際は, CT骨盤腹膜炎も考慮し外科的治療をも考えることが重要である.
著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top