日本臨床外科学会雑誌
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劇症型アメーバ性大腸炎の1例
平川 昭彦田中 孝也梶本 心太郎石倉 宏恭岩瀬 正顕中谷 壽男
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2003 年 64 巻 10 号 p. 2516-2519

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抄録

劇症型アメーバ性大腸炎の1例を経験したので報告する.症例は53歳,男性.肛門部痛を生じたため前医に入院.肛門周囲に膿瘍を認めたため切開排膿術を施行するも粘血下痢便が続き,イレウスを生じたため当センターに搬送となる.搬入時,高熱および腹部の圧痛,肛門部の膿排出あり,腹部X線写真およびCTにてイレウス像を呈していた.翌日,腹部痛が増大したため開腹術を施行した.大腸は大部分がぼろ雑巾様の壊死を呈しており大腸全摘出+回腸瘻造設術を施行するも術後多臓器不全となり死亡した.病理組織にてアメーバ性大腸炎と診断した.アメーバ赤痢は,比較的稀な疾患と考えられていたが最近増加傾向にある.粘血下痢便を主訴とした患者は,本疾患も念頭にいれ早期診断を行い,劇症型で手術を行う場合は全身状態を考慮した術式が選択されるべきと思われた.

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