抄録
腎癌に対してインターフェロン治療を行った後に,大腸腫瘍を発生した3症例を報告する.症例1は, 68歳女性.腎癌の腎摘後インターフェロンを6年間注射し,その後4年目に慢性貧血からS状腸癌を発見しS状腸切除を受けた.病理組織学的には中分化腺癌であった.症例2は, 68歳男性.腎癌腎摘後インターフェロンを3年6月注射したときに,大腸鏡で上行結腸と横行結腸に腫瘍を発見され結腸半切術をうけた.病理組織学的には高分化腺癌と中分化腺癌とであった.症例3は, 54歳男性.腎癌腎摘後インターフェロンを2年注射時に下血をきたし,大腸鏡でS状腸に4個の腫瘍を認め電気的腫瘍切除術を受けた.病理組織学的には大腸腺腫であった.これらの3症例を報告するとともにインターフェロン治療後に続発する腫瘍について文献的考察を行った.