日本臨床外科学会雑誌
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12歳女児に発生した若年性乳腺線維腺腫の2例
伊藤 勅子藤田 知之清水 明熊木 俊成青木 孝學春日 好雄上原 剛土屋 眞一
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2003 年 64 巻 12 号 p. 2994-2998

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抄録

急速に増大し乳房全体を占めるような若年性乳腺線維腺腫を2例経験したので報告する.症例はいずれも12歳,女児であった.腫瘍は比較的境界明瞭,表面は平滑,可動性良好の腫瘤であった.穿刺吸引細胞診でclass II,線維腺腫が疑われたため全身麻酔下にて腫瘍摘出術が施行された.摘出標本の最大径は6.6cmと11cmで,病理組織学的所見では,境界は明瞭,管周囲型の増生および乳管上皮の過形成を認めた.間質細胞の異型は乏しく,筋上皮を認め,若年性線維腺腫と診断された. ER, PgRは1例は陰性で,もう1例は陽性であった.本邦報告例ではER, PgR陽性例は高率であり原因に関してはエストロゲンに対する異常な局所的感受性が考えられている.大きな線維腺腫は若年者に多いため,正常な乳腺をできるだけ損傷しないアプローチを考慮する事が必要と思われた.

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