2003 年 64 巻 12 号 p. 3022-3025
症例は64歳,男性.右前胸部痛を主訴に前医を受診した.胸部CTで右前胸部に7×5cm大の腫瘤を認めた.経皮肺生検を施行したところ低分化腺癌と診断され,肺癌胸壁浸潤として当院に紹介された.術前外照射を施行後,右肺上葉切除,胸壁合併切除術を施行した.病理組織検査では分類困難な胸壁肉腫と診断された.術後背部と胸腔内に再発を認めたため再発腫瘍切除術を施行,さらに右前胸部と右大腿部に再々発を認め,再発腫瘍切除術を施行した.この際の病理組織検査で悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma: MFH)と診断された. MFHは再発率が高く,その予後は不良である.予後改善のためには,正確な術前診断と初回切除時の確実な根治切除が重要であると思われた.