日本臨床外科学会雑誌
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胃癌,膵尾部癌,喉頭癌,左腎癌の異時性4重複癌の1例
石黒 要清水 陽介荒能 義彦佐々木 正寿
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2003 年 64 巻 12 号 p. 3225-3229

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抄録

症例は67歳,男性.平成7年10月,心窩部不快感・黒色便にて来院.上部消化管内視鏡検査で胃前庭部に3'型腫瘍を認めた.胃癌の診断にて,幽門側胃切除+胆嚢摘出術施行.中分化型腺癌, T3N1M0, Stage IIIA,根治度Aであった.平成11年1月,腹部CTで膵尾部に直径30mmの腫瘍を認めた.膵体尾部切除+脾臓摘出術施行.膵癌(腺扁平上皮癌), T2N0M0, Stage II,根治度Aであった.平成11年6月,嗄声にて来院,両声帯に腫瘍を認め,喉頭癌(角化扁平上皮癌, T3N0M0, Stage III)と診断.放射線照射+化学療法+レーザー焼灼術施行.平成14年3月,腹部CTで左腎に直径27mmの腫瘍を認めた.左腎摘出術施行.腎癌(明細胞癌), TlaN0M0, stage Iであった.無再発にて経過観察中である.重複癌では診断・治療に苦慮することが多いが,外科的切除を含む積極的な治療を行うべきと考えた.

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