日本臨床外科学会雑誌
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術後7年目に肝転移をきたした胃平滑筋肉腫の1例
千田 嘉毅松田 眞佐男弥政 晋輔水野 敬輔三宅 秀夫雨宮 剛
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2003 年 64 巻 2 号 p. 337-341

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抄録

症例は48歳,男性.平成5年に胃平滑筋肉腫(体上部小彎,直径4cm)のため胃全摘術を当科で施行し,病理ではlow grade malignancyと診断された.その後再発を認めなかったが平成12年8月,腹部腫瘤を主訴に受診した.精査の結果肝左葉全体を占める巨大な胃平滑筋肉腫の肝転移と診断.平成12年9月12日肝左葉切除術を施行した.病理検査の結果,胃平滑筋肉腫の肝転移と診断,原発巣より悪性度を増していた. 3カ月後残肝に再発し,肝動注療法を行ったが手術から13カ月後に死亡した.
胃平滑筋肉腫は肝転移の頻度が多いと報告されているが肝切除施行例の報告は少なく,検索しえた限りでは自験例を含み28例であった.また7年後に発見され切除しえたものは稀であった.自験例のように原発巣が比較的小さく,病理検査でlow grade malignancyと診断されたにもかかわらず,術後7年を経過して再発をきたすものもあり,長期間の慎重なfollow upが必要であると思われた.

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