抄録
十二指腸球部に脱出した早期胃癌の1例を経験したので報告する.
症例は74歳,女性.慢性腎不全で当院内科通院中.貧血の精査のため上部消化管内視鏡を施行したところ,胃前庭部小彎に茎を持ち,幽門輪を越え十二指腸球部内に脱出したI型の隆起性病変を認めた.幽門輪の内視鏡の通過は容易であったが検査中に脱出した腫瘤を整復することはできなかった.生検の結果Group Vのadenocarcinomaであり,前庭部のI型胃癌の十二指腸への脱出と診断.内視鏡的膜切除術の適応外と判断し幽門側胃切除(D1)を施行した.腫瘍は前庭部小彎に広基性の茎をもつ57mm×37mmの結節状隆起性病変で病理組織学的に高分化腺癌で深達度はsmであった.術後経過は良好で術後13日目に退院した.
十二指腸へ脱出する胃腫瘍は比較的稀であり,本邦58例の報告例の解析を加えて報告する.