抄録
胃癌の進行過程で粘膜下腫瘍様形態をとり診断に苦慮する場合がある.確定診断までに約3年を要し,その間の内視鏡像を追跡しえた1例を経験したので報告する.症例は57歳,女性. 1996年11月,胃角小彎のm癌に対しEMRを行った.この時,体中上部小彎後壁に約1 cmの粘膜下腫瘍様隆起も認めたが生検でGroup Iであった.その後,定期的follow upのため上部内視鏡を繰り返した. 1999年7月,病変は約1.5cmに増大し,生検でGroup V (低分化型腺癌)であった.超音波内視鏡で深達度SM3であり,腫瘍の部位より,胃全摘術(D1+β)を行った.病理組織学的には低分化型腺癌で早期リンパ球浸潤性髄様癌であった.術後経過は良好で術後37カ月の現在,再発の兆候は認めていない.