日本臨床外科学会雑誌
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流産を契機として発見された若年者横行結腸癌の1例
根本 有紀子小野寺 真一橋本 龍二椿 昌裕難波 美津雄砂川 正勝
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キーワード: 流産, 若年者, 結腸癌
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2003 年 64 巻 2 号 p. 399-402

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抄録

症例は29歳,女性.平成12年9月に流産したが,その後も持続する下腹部痛を主訴に近医内科を受診.便潜血反応が陽性であったため,当院消化器内科を紹介され大腸内視鏡検査を受けた.大腸内視鏡検査では肝彎曲部寄りの横行結腸に腸管内腔全体を占める1型の腫瘍を認め,同部より口側への内視鏡挿入は不可能であった.生検の結果,中分化腺癌と診断され全身精査後の平成13年1月15日に結腸右半切除, 3群リンパ節郭清術を施行した.
切除標本にて腫瘍は7×5×4cm, 1型,中分化腺癌, ss, ly 1, v1, n3(+)P0H0M(-) stage IIIbであった.術後にCDDP, 5-FU,アイソボリンを用いた化学療法を施行し退院となった.現在再発を認めず経過観察中である.
若年者で,かつ流産後であったが持続する下腹部痛を主訴とした場合,大腸癌をはじめとする悪性腫瘍の可能性を考え精査することの重要性を再認識させられた症例であった.

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