日本臨床外科学会雑誌
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CTで発症過程を観察しえた黄色肉芽腫性胆嚢炎の1例
井上 慎吾張 文誠江口 英雄
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2003 年 64 巻 2 号 p. 431-434

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抄録

CTで発症過程を観察しえた黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)の1例を報告する.本症例は70歳女性で,左外傷性気胸の入院治療中に発熱,右季肋部痛を発症した.発症前のCTでは胆嚢に異常はなく,結石もなかった.発症2日目では胆嚢壁は均一な肥厚を示し, 44日目では胆嚢壁は全周性に著しく不均一に肥厚していた. ERCでは胆嚢管内に小さな陰影欠損を認めた後,造影は途絶していた. CTでの胆嚢の経時的変化と血液検査所見から,胆嚢炎と診断した.胆嚢摘出術を施行し,病理組織検査でXGCと診断された.しかし胆嚢管は確認できず遺残したことから,胆嚢炎の原因検索は不十分となった. XGCは高率に胆嚢癌を合併することから,遺残部分に対し今後も注意深い経過観察が必要と考えられた.

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