日本臨床外科学会雑誌
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腹腔内感染と腸回転異常症を合併した卵巣原発serous surface papillary carcinomaの1例
小池 裕之平岡 聡多田 正晴坂田 晋吾山口 哲哉中山 昇
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キーワード: 卵巣, 汎発性腹膜炎
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2003 年 64 巻 2 号 p. 468-473

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抄録
腹腔内感染と腸回転異常症を合併した卵巣原発serous surface papillary carcinoma (SSPC)の1例を経験した.症例は80歳,女性.腹部膨満感を主訴に1999年6月28日に当院に入院.入院時には腹部は膨隆し,血液生化学検査では白血球増加とCRP高値を,腹部CT, MRIでは大量腹水と左下腹部の腫瘤,腸回転異常を認めた.腹水からは腺癌細胞が検出された. 7月2日,腹腔穿刺で悪臭を伴った混濁腹水を吸引したため,同日に開腹術を施行し,卵巣SSPCによる癌性腹膜炎に腹腔内感染を合併したものと判明した. SSPCは原発臓器とされる卵巣自体の腫瘍性変化は乏しいにもかかわらず,腹膜や大網に浸潤し癌性腹膜炎を呈する特異な卵巣癌と考えられているが,感染性腹膜炎の合併はきわめて稀であるので報告した.
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