日本臨床外科学会雑誌
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合成モノフィラメント吸収糸連続縫合による腹壁閉鎖後の腹壁瘢痕ヘルニア発生状況
帆足 孝也岩瀬 和裕檜垣 淳尹 亨彦三方 彰喜宮崎 実西谷 暁子川本 弘一老松 夏美金 啓和上池 渉
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2003 年 64 巻 3 号 p. 565-569

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抄録

腹部正中切開創を遅発性合成モノフィラメント吸収糸連続縫合により閉鎖し,術後1年6カ月以上の経過観察が可能であった588例について,腹壁瘢痕ヘルニア発生状況を観察した. 22例(3.7%)にヘルニアを認めた.ヘルニア発生時期は, 3カ月以内4例, 3カ月から6カ月6例, 6カ月から9カ月4例, 9カ月から12カ月3例および1年以上4例と,ほぼ均等に分布していた.ヘルニア初発部位は, 55%が臍周囲に認められたのに対して,縫合糸の結紮点となる下端での発生は38%であった.遅発性合成モノフィラメント吸収糸を使用した場合の縫合糸吸収に起因するヘルニア発生時期の偏りは認められず,連続縫合による閉腹操作に際しては臍周囲の縫合に注意が肝要と考えられた.

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