日本臨床外科学会雑誌
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漏斗胸に対する胸腔鏡下胸骨挙上術(Nuss法)の手術時年齢による比較検討
諸冨 嘉樹大野 耕一中平 公士塩川 智司辻本 嘉助木下 博明
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2003 年 64 巻 4 号 p. 791-795

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抄録

胸腔鏡下胸骨挙上術(Nuss法)を行った漏斗胸患児を年少児群(20例,手術時年齢6歳0カ月±1歳8カ月,男女比18:2,)と年長児群(6例, 17歳1カ月±2歳3カ月, 6:0)にわけて検討した.年少児群の手術時間は128±35分,手術から帰宅までの期間は7±3日であったが,年長児群では174±32分, 11±3日でありいずれも有意差を認めた.年少児の1例に気胸がみられ,年長児の3例にbarのshift, flipping,断裂したwireによる肺損傷と胸腔内異物が発生し,年長児群で合併症が多かった.しかし年齢に関わらずwireでbarを固定した症例に合併症が多かったことから, stabilizerを使用することによって合併症を減少できると思われた.また年長児では肋軟骨の柔軟性が乏しいためbarを回転した際に肋軟骨骨折をきたし,その疼痛のために離床が遅れたものと推察した.術後の胸郭形態も年少児群で良好であったが, Nuss法では年長児の広い陥凹を十分に挙上できなかった.

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