日本臨床外科学会雑誌
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胆嚢転移をきたした虫垂原発粘液嚢胞腺癌の1例
黒田 直樹日馬 幹弘大久保 和隆岡田 佳平野牛 道晃山梨 美紀夫
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2003 年 64 巻 4 号 p. 940-944

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抄録

原発性虫垂癌は,切除した虫垂の0.01~0.19%を占める比較的稀な疾患であり,その約半数は粘液嚢胞腺癌である.この疾患は遠隔転移やリンパ行性転移は稀とされている.今回,胆嚢転移を生じた虫垂粘液嚢胞腺癌の症例を経験したので報告する.症例は79歳の男性で,突然生じた右季肋部痛のため当院内科に入院した.患者は虫垂粘液嚢胞腺癌にて回盲部切除を受けており, 2年間経過良好であった.超音波と腹部CTにて急性胆嚢炎の診断を得たため,外科にて開腹を行った.胆嚢内は感染胆汁で満たされており,頸部の漿膜下に腫瘤を認めた.腫脹リンパ節や癒着部を可及的に切除した.病理学的に虫垂粘液嚢胞腺癌の転移と診断された.本腫瘍の胆嚢転移は非常に稀な病態であり,現在まで報告はみられなかった.

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