日本臨床外科学会雑誌
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副交通胆管枝に合併した尾状葉肝内結石症の1例
小林 裕幸野崎 英樹清水 稔秀村 和彦田中 千恵佐々 実穂
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キーワード: 副交通胆管枝, 肝内結石
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2003 年 64 巻 5 号 p. 1198-1201

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抄録

われわれは総胆管と左肝管の間に副交通胆管枝が存在するという非常に稀な肝外胆管形態異常に,尾状葉の肝内結石症を合併した1例を経験した.症例は66歳の女性.平成14年3月3日,腹痛,発熱のため,当院を受診し入院した.腹部超音波検査, CT検査では左側尾状葉内に多数の肝内結石を認めた. MRCP,内視鏡的逆行性胆管膵管造影検査(ERCP)にて総胆管左壁への胆管の合流を認めた.左尾状葉胆管枝の総胆管への異所性合流に肝内結石症が合併したと診断し4月1日手術を施行した.術中胆道造影にて総胆管と左肝管の間に交通する副胆管枝を確認した.左側尾状葉を含む肝左葉切除術を施行した.左尾状葉胆管が副交通胆管枝に合流していることが切除標本で確認された.尾状葉胆管内にはビ系結石が多数充満していた.患者の術後経過は良好であった.術中の胆道造影が胆管走行異常の把握に最も有用であった.

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