日本臨床外科学会雑誌
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膵頭十二指腸切除術後17年目の総肝管空腸吻合部狭窄に対する再手術の1例
濱田 賢司田端 正己上本 伸二
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2003 年 64 巻 5 号 p. 1202-1208

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抄録

72歳,男性. 55歳時十二指腸癌でPDを施行(今永法).術後胆管炎を反復した.平成12年11月発熱にて近医受診しCT上肝S5に径約2 cmの腫瘤を指摘され紹介. Dynamic CTで腫瘤は早期相では造影されず徐々に辺縁が造影され超後期相まで持続した.腫瘍内に少量のガスと肝内胆管拡張, pneumobiliaを認めた. MRIで腫瘤はT1低信号, T2高信号を示した. CTHAでは腫瘤辺縁が早期相~後期相まで造影された. PTBD造影で総肝管空腸吻合部狭窄と吻合部直上に径2 cm大の透亮像を認めたが2週間後には消失し結石と診断した.胆道ファイバーでは狭窄部は炎症性変化で生検上も悪性所見はなく術後総肝管空腸吻合部狭窄・胆管炎による総肝管結石・肝炎症性偽腫瘍と考え手術施行.吻合部を含め総肝管を切除し肝門部胆管空腸吻合術を施行.術中黄色調腫瘤を認め術中病理で線維組織で切除不要と考えた.組織学的に胆管壁は炎症細胞浸潤,幽門腺化生,線維性肥厚を,肝腫瘤は線維組織で瘢痕化した膿瘍と診断した.

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