日本臨床外科学会雑誌
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乳腺glycogen-rich clear cell carcinomaの1例
川崎 篤史三松 謙司大井田 尚継久保井 洋一桂 義久天野 定雄福澤 正洋
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キーワード: 乳腺悪性腫瘍
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2003 年 64 巻 7 号 p. 1593-1596

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抄録

症例は51歳,女性.右乳房に腫瘤を自覚し当院外科を紹介受診.右D領域に直径約20mm大の腫瘤を触知した.摘出生検でglycogen-rich clear cell carcinoma (以下GRCCC)の診断で,摘出生検から23日後,乳房扇状部分切除術,腋窩リンパ節郭清(Bq+Ax)を施行した.経過は良好で術後7日目に退院となった.病理組織診断で腋窩リンパ節転移を認めたため, 5-FU, TAMの経口投与を開始し,残存乳房に放射線治療を行った.乳腺のGRCCCは全乳癌の1~3%と比較的稀で,病理組織学的に腫瘍細胞内に淡明な胞体を有し,多量のグリコーゲンを含んでいるのが特徴である.臨床医学的な報告,特に手術術式や補助療法に関する報告は少なく,また予後については現時点では統一された見解はない.予後不良と記述された報告もあるため,今後の症例から手術術式や補助療法の検討が必要と考える.

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