日本臨床外科学会雑誌
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持続洗浄を試みた降下性壊死性縦隔炎の1例
小松 周平上島 康生樋口 恒司濱島 高志池田 栄人栗岡 英明
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2003 年 64 巻 7 号 p. 1607-1612

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抄録
降下性壊死性縦隔炎(descending necrotizing mediastinitis;以下DNMと略)は重篤化し易く,致命率の高い疾患であり迅速な治療方針の決定が必要である.今回われわれは重篤化したDNMに対し,従来の治療方針に持続縦隔洗浄を加え,救命しえた1例を経験したので報告する.患者は54歳,男性.平成13年5月4日,咽頭痛を主訴に近医受診. 5月7日,胸部X線写真で左膿胸を指摘され,トロッカーを挿入し胸腔ドレナージ術を施行された.しかし同日, DICおよびseptic shock状態を呈したため当院紹介となった. CTで縦隔内に膿瘍があり,気管分岐下から後縦隔下方まで進展していたため,緊急右開胸縦隔ドレナージ,深頸部膿瘍切開ドレナージ術を施行した.縦隔組織の壊死が著明であったため,右開胸で到達可能な範囲にデブリードメントを行った.炎症反応が持続し縦隔に遺残膿瘍をみたため, 5PODより更に両側頸部からトロッカーを縦隔(両側傍気管)に留置し持続縦隔洗浄開始した. 14POD軽快傾向にて持続洗浄中止し, 62POD軽快にて退院となった. DNMは,口腔および咽頭部感染が縦隔に波及して発症する重篤な疾患であり,迅速な診断と適切なドレナージ術が不可欠である.また,低侵襲を追求するあまり不充分なドレナージは致命的となり得るため,術後のドレナージ効果を十分に評価し,効果不十分の場合は,頸部および開胸による縦隔ドレナージを追加することを躊躇すべきではない.更に,持続縦隔洗浄の併用も有用であると思われた.
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