抄録
Gastritis cystica polyposa (GCP)は胃切除術後長期経過したBillroth-II法再建後の胃腸吻合部にみられる特異な慢性炎症性胃粘膜病変で,残胃癌との関連が示唆されている.われわれは胃潰瘍の術後40年と45年を経過したBillroth-II法再建の残胃癌2例を経験した.症例は79歳と73歳の男性で2例とも胃カメラにて胃腸吻合部胃粘膜に隆起性病変を認め,生検にて残胃癌と診断され手術を施行する.病理組織診断にて2例ともGCPの中に早期癌が認められた.
GCPは残胃癌と関連しているという報告があり,本邦では17例に残胃GCP内に早期癌が発生したという報告がみられる. GCPはB-II法再建後の残胃に発生しやすい前癌病変の可能性があり,術後20年以上経過している場合には内視鏡による注意深い観察が必要である.