日本臨床外科学会雑誌
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ステント治療が有効であった食道癌術後胸腔内縫合不全の1例
生方 英幸本橋 行田崎 太郎春日 照彦片野 素信田渕 崇文
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2003 年 64 巻 8 号 p. 1890-1895

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抄録
症例は63歳,男性. EG領域の2型進行癌にて下部食道切除術施行.再建は細径胃管を作成し,自動吻合器を用いて端側式食道胃管吻合を胸腔内で施行した.術後SIRSの状態となったため,胸腔ドレナージを追加し, CHDF, PMX施行し全身状態の改善に努めた.再開胸は危険な状態であったため,全身状態の小康を待ち術後31日目に検査を行い縫合不全を確認した.術後40日目にUltraflexのcovered stentを内視鏡下に挿入したところ,全身状態の劇的な改善がみられ,その3週間後には瘻孔は完全に閉鎖された.近年の手術手技,手術器具の進歩にも関わらず食道癌の縫合不全発生率は約15%前後との報告が多く難易度の高い術式である.特に胸腔内吻合の場合は頸部吻合に比較し重篤になりやすく治療に難渋する.再開胸できないほど全身状態が悪化している症例の救命には,侵襲の少ないステント治療も有効な一手段であると考えられた.
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