日本臨床外科学会雑誌
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甲状腺原発Schwannomaの1例
池田 義之富山 武美畠山 勝義
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キーワード: 甲状腺非上皮性腫瘍
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2003 年 64 巻 9 号 p. 2105-2108

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抄録

症例は16歳,女性. 10歳時より指摘された頸部腫瘤が増大傾向にあった.甲状腺右葉下極に径約3 cm大の腫瘤を認めた.血液検査所見には異常を認めなかった.エコー・CT上,腫瘤は境界明瞭で内部は不均一であった.甲状腺腫瘍摘出術を施行.腫瘍は充実性で一部出血を伴い,被膜を有していた.組織所見は紡錘形腫瘍細胞が柵状配列し,また不規則に散在する部位も認め,粘液変性に相当する空隙が存在した.免疫染色所見はS100陽性, vimentin陽性, αSMA陰性であった.総合的に甲状腺SchwannomaのAntoni type A, Bと診断された.術後経過は良好で,現在無再発である.甲状腺Schwannomaは検索範囲内で15例の報告にすぎず,術前診断は困難で,外科的摘出が唯一の治療法である.文献的考察を加えて報告する.

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