日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
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64 巻 , 9 号
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  • 小柳 〓久
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2081-2088
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
  • 前田 大, 藤崎 真人, 高橋 孝行, 平畑 忍, 亀井 秀策, 戸倉 英之, 犬塚 和徳, 船橋 益夫, 石田 治, 樋野 忠司
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2089-2094
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    成人の虫垂膿瘍は急性期に一期的に手術を施行されることが多い.しかしその際,腸管切除や術後合併症を経験することがある.われわれはそれらを予防すべく,成人の虫垂膿瘍症例6例に対して保存的に治療した後,約3カ月後に虫垂切除を行うinterval appendectomy (以下IA)を施行した. 3例は経皮的膿瘍ドレナージを, 3例は腹腔鏡下に虫垂切除術を施行した. IAの平均手術時間は68.8分,出血量10.3g,入院日数33.3日,入院保険点数87,386点で,出血量が少ない以外一期的手術との差はなかった.しかし拡大手術移行率,合併症率は一期的手術では25%, 32%であったのに対し, IAでは両者とも0%であった.
    以上より虫垂膿瘍に対してはIAが第一選択と思われた.今後は経皮的ドレナージや,腹腔鏡下手術を積極的に施行することによって入院期間を短縮し,さらなる低侵襲手術を目指す必要があるものと思われた.
  • 天満 和男, 市原 利晃, 伊藤 学, 菊地 功, 細野 由希子, 中村 正明
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2095-2099
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    1992年から2001年までの汎発性腹膜炎手術例は118例あり,このうち80歳以上(高齢者群)の19例と60歳代(対照群)の26例について術前・後の臨床経過,術前合併症および検査成績,手術,術後合併症,予後さらに医療費につき検討した.男女比,原因疾患,術前の経過,術前合併症,検査成績および手術に関する項目では差がみられなかった.術後管理において人工呼吸器の装着を要した例とカテコラミンの投与例,術後譫妄を発症した例が高齢者群で有意に多く,また退院できた症例では高齢者群のみに経口摂取ができず在宅中心静脈栄養または経管栄養となった例が3例あった.手術直接死亡,在院死亡,在院日数および医療費には差がみられなかった.高齢者汎発性腹膜炎の手術においては,術後の呼吸循環管理に重点を置くとともに,譫妄とADL低下の防止に対する精力的なケアが重要であると考えられる.
  • 四方 哲, 里 輝幸, 大川 和成, 堀江 秀樹, 赤木 重典
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2100-2104
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれが最近11年間に経験したマムシ咬傷44例について検討し,文献的検討を加え報告した.セファランチンは43例に使用し,まむしウマ抗毒素血清(以下,抗毒素)は10例に使用したが,抗毒素の治療効果として入院日数,治療日数の短縮には至らず,必ずしも必要ないと思われた.咬傷後の腫脹範囲が高度になるにしたがい入院日数,治療日数, AST, LDH, CPK値は高値を呈した.治療に30日以上を要した10例のうち9例は咬傷部または乱切開した部位が潰瘍を形成,壊死したことが原因だった. 17報告1,219例の文献的検討で重症化は1.8%,死亡は0.8%であった.重症や死亡はいずれも京都以西からのみであった.
  • 池田 義之, 富山 武美, 畠山 勝義
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2105-2108
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は16歳,女性. 10歳時より指摘された頸部腫瘤が増大傾向にあった.甲状腺右葉下極に径約3 cm大の腫瘤を認めた.血液検査所見には異常を認めなかった.エコー・CT上,腫瘤は境界明瞭で内部は不均一であった.甲状腺腫瘍摘出術を施行.腫瘍は充実性で一部出血を伴い,被膜を有していた.組織所見は紡錘形腫瘍細胞が柵状配列し,また不規則に散在する部位も認め,粘液変性に相当する空隙が存在した.免疫染色所見はS100陽性, vimentin陽性, αSMA陰性であった.総合的に甲状腺SchwannomaのAntoni type A, Bと診断された.術後経過は良好で,現在無再発である.甲状腺Schwannomaは検索範囲内で15例の報告にすぎず,術前診断は困難で,外科的摘出が唯一の治療法である.文献的考察を加えて報告する.
  • 椎木 滋雄
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2109-2112
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は27歳授乳期女性.右乳房の腫瘤を主訴に来院した.受診時,乳腺炎を考えたが,乳房は急激に増大したため穿刺吸引細胞診を施行した結果,悪性リンパ腫が疑われた.確定診断のため生検を施行し, non-Hodgkin lymphoma, diffuse large B cell typeと病理組織診断された.自験例はWisemanらの診断基準に照らし,乳腺原発と診断された.外科的手術は生検にとどめ, CHOP療法6コース施行後右乳房と腋窩に40Gyの放射線照射を併用した.血清可溶性インターロイキン2レセプター値(sIL-2R)は治療前に高値を示したが,治療終了後基準値内で推移し, 4年を経過した現在,再発を認めていない.
  • 金武 和人, 日野 晃紹, 岩田 尚
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2113-2116
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    胸壁原発良性線維性組織球腫の1例を経験した.症例は50歳,女性.主訴は左胸部痛.約半年前から左乳房下縁の疼痛を自覚するようになり,次第に増強するため当院を受診した.左乳房下縁の胸壁に可動性のない直径5cm大の硬い腫瘤を触知し,圧痛が著明であった.全身検索にて他臓器に異常所見はなく,画像診断上と組織診で悪性所見を認めなかった.胸壁原発良性腫瘍として手術を施行した.腫瘍は第7肋骨に強固に癒着しており第8肋骨にも接していたため,第7肋骨と第8肋骨の一部を含めて腫瘍を切除した.病理組織検査にて良性線維性組織球腫と診断された.術後1年8カ月を経過したが再発の所見はない.線維性組織球腫の中には組織学的に良性と診断されても再発を繰り返す臨床悪性のものの報告もあり,引き続き経過観察が必要と考えている.
  • 吉田 珠子, 小山 邦広, 神崎 正人, 池田 豊秀, 城谷 典保, 大貫 恭正
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2117-2120
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,男性.既往歴は74歳時結腸癌に対し右半結腸切除を施行.結腸癌術後の経過観察中,平成14年の腹部CTにて腎動脈下に腹部動脈瘤を認め,当科手術目的で入院.術前大動脈造影の際,上腸間膜動脈末梢に,上腸間膜動静脈奇形(AVM)を認め,腹部大動脈瘤との同時手術を予定した.手術は仰臥位,正中創より開腹で施行.腹腔内の癒着剥離後,上腸間膜動静脈奇形を含め回腸を約15cm切除した.ついで大動脈瘤の手術操作に移り,腹部大動脈人工血管置換術を施行した.術後,イレウスを発症するが保存的治療で軽快し,独歩退院した.上腸間膜動静脈奇形は原因不明の消化管出血にて発見されることが多く, Alfidiらは血管造影の所見により4つに分類しており,本症例は流入動脈の拡張と早期静脈還流と小血管の集簇の3つの所見を認めた.治療は外科切除が望ましく,今回,大動脈瘤との一期的手術を施行し良好な結果を得た.
  • 坂尾 寿彦, 加洲 保明, 杉下 博基, 岩川 和秀, 岡田 憲三, 梶原 伸介
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2121-2124
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,男性,腹痛腰痛で近医を受診し,腹部CTで破裂性腹部大動脈瘤と診断され,当科紹介され緊急入院した.緊急で腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行した.術後赤色尿を認め, myonephropathic metabolic syndrome (MNMS)の診断し,持続血液濾過透析,血液透析で軽快した.術後25日目下血を認め,消化管出血シンチで小腸出血の診断し,吻合部小腸瘻も否定できず,再手術を施行した.吻合部小腸瘻はなく,出血点も明らかでなく,試験開腹となった.再出血は認めず,症状は軽快した.その後経過は良好で,腎機能も正常化した.破裂性腹部大動脈瘤は依然手術成績は不良である.術前の循環動態や破裂の程度が予後を決定する重要な因子であるが,術後の合併症も関与する.術後MNMS,小腸出血を合併したが,救命しえた破裂性大動脈瘤症例を若干の文献的考察を加え報告した.
  • 木下 貴裕, 櫻井 照久, 榎本 克己, 岡村 吉隆
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2125-2128
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    気腫性嚢胞は肺癌の危険因子の1つと言われているが,胸壁浸潤をきたし切除しえた報告例は少ないので報告する.症例は32歳,男性. 3カ月前よりの右背部痛を主訴に受診.胸部CTにて右上葉S3付近に,巨大気腫性嚢胞壁に接して腫瘤を認め,胸壁浸潤性腫瘍が疑われた. 99mTc骨シンチグラムで,同部位(第三肋骨)に一致してhot spotを認めた.術前確定診断は得られなかったが,嚢胞壁に発生した胸壁浸潤肺癌の疑いにて,手術を行った.術中迅速病理診断の結果,腺癌の診断を得たため,右上葉切除に加え第三,第四肋骨含む胸壁合併切除を施行した.最終病理診断は,低分化型肺腺癌でpT3N0M0 stage IIbであった.術後16カ月目に脳転移をきたしたが,ガンマナイフ治療にてコントロールでき, 2年生存中である.気腫性肺嚢胞の患者を診察する時,それに接する胸壁の変化にも注意して経過観察する必要があると考える.
  • 桑原 史郎, 山崎 俊幸, 大谷 哲也, 片柳 憲雄, 山本 睦生, 斉藤 英樹
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2129-2133
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    過去13年間に経験した外傷性横隔膜破裂13症例を検討した.全例が鈍的外傷によるものであり,平均年齢は46歳,男女比は8:5,頻度は同時期の胸腹部外傷手術例の7.5%であった.破裂側は左側11例,右側1例,両側1例であった.全例が合併損傷を伴い, 6例にショック症状を認めたが,破裂部からの脱出臓器によるショック症状は1例のみであった. 12例に手術を施行し, 11例で直接縫合を1例にメッシュによる縫合を施行した.アプローチは9例が開腹もしくは開胸のみであり3例が開胸腹であった.予後は, 5例が合併損傷にて死亡した.本症は,多発外傷の1損傷であり予後は合併損傷により決定される.このため脱出臓器による心肺圧迫の所見がないならば,致命的な合併損傷の治療を優先し,全身状態改善の後に手術すべきと考えられた.また手術に際しては,開胸開腹が併施可能としておくことが重要と考えられた.
  • 目片 英治, 川口 晃, 内藤 弘之, 花澤 一芳, 谷 徹, 蔦本 慶裕
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2134-2138
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    肝硬変を合併した特発性食道破裂の1例を報告するとともに,文献的考察を行った.症例は50歳,女性,突然の黒色吐物があり近医を受診.ただちに上部内視鏡を施行され特発性食道破裂と診断された.肝硬変を合併していたため,当院に紹介となった.食道X線造影では下部食道左壁に約1 cmの破裂部位を認めた. CTにて縦隔に膿瘍腔を認めた.発症3日目に開胸ドレナージ術,ドレナージチューブ留置術を行った.術後16日目の造影にて破裂創の閉鎖を確認,術後23日目より経口を開始し,術後34日目に退院となった.
    肝硬変合併症例を文献的に検討すると死亡率は28%と高率であった.手術方法はさまざまであるが,有効なドレナージ術は共通であると考られた.肝硬変症例では,一般的な症例より早い段階で手術に踏み切る必要があると考えられた.
  • 寺田 武史, 碓井 貞仁, 柁原 宏久, 片桐 美和, 炭山 嘉伸, 大原関 利章
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2139-2143
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Gastrointestinal stromal tumor (GIST)は局所再発や転移性腫瘍の予後は悪いとされているものの,近年チロシンキナーゼ活性を持つc-kit遺伝子の機能異常により発現することが証明され,分子標的治療薬, Imatinib Mesilate (STI571)の開発によりその有効性が認められた.今回, STI571が奏効した肝転移,腹膜播種を伴った胃原発GISTの1例を経験したので報告する.症例は72歳,女性,胃原発の平滑筋肉腫の診断で手術施行したが,以後多発性肝転移,腹膜播種出現.各種化学療法施行もstable disease (SD)以上の効果は得られず,副作用強く中止せざるを得なかった.その後, c-kit(+)であることが判明. STI571を400mg/dayにて投与開始.投与後1カ月で肝内転移は縮小し, PR以上の効果をみせた.本例でみられた治療効果を考えると同薬剤の開発は画期的な進歩であり,他の癌腫,肉腫に対しても新たな治療薬が開発されることが今後期待される.
  • 丸野 要, 土用下 和之, 福田 直人
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2144-2148
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    私共は101歳の胃癌症例に対して手術を施行しえたので報告する.症例は101歳10カ月の男性で,主訴は下血.平成14年5月7日よりタール便を認め, 5月9日当科受診.上部消化管内視鏡にて,胃体中部小彎に出血を伴う2型の腫瘍を認め入院となった.生検では低分化腺癌であった.入院時高度の貧血を認め,輸血により貧血は一時改善したが,一週間後には再度の貧血の進行を認めた.精査の結果,クレアチニンクリアランス36ml/min,心電図で完全右脚ブロックと左脚前枝ブロック, UCGにて左室壁の軽度の肥厚,大動脈弁の逆流と軽度の狭窄を認める以外に特に異常なく耐術可能と判断し, 6月6日全麻硬麻併用下開腹胃局所切除術を施行した.術後経過は2PODに一時的にせん妄状態みられた以外には特に問題なく23PODには軽快退院した. 100歳以上の開腹手術症例の本邦報告例では,本症例は15例目であった.文献的考察を加え報告する.
  • 石神 純也, 宮薗 太志, 夏越 祥次, 徳田 浩喜, 帆北 修一, 愛甲 孝
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2149-2152
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    術前化学療法後に根治手術を行い, 3年無再発生存中の大動脈周囲リンパ節(以下No16)転移陽性胃癌症例を経験した.症例は56歳,女性.心窩部痛を主訴に来院し,胃内視鏡で前庭部大彎に3型の胃癌を指摘された.腹部CT検査でNo16リンパ節に多発転移が認められたため, 5FU+CDDP療法を3クール施行した.胃病変はCRが得られたが,リンパ節転移は残存したため, 2000年2月3日幽門側胃切除とD3郭清を行った.病理組織学的検索で胃の腫瘍は認められず, No16リンパ節に合計7個のリンパ節転移を認め,総転移個数は13個であった.明らかな腫瘍の残存なく,根治度Bと判断した.術後TS1 80mg/日を外来で4クール予防投与した. 3年を経過した現在,明らかな再発を認めていない. No16陽性胃癌に対しては効果的な術前術後の化学療法と手術の組み合わせの工夫が重要と考えられた.
  • 石川 泰, 京極 高久, 高峰 義和, 林 雅造
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2153-2156
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    胃固有筋層に固定される進行胃癌が十二指腸内に嵌入をきたした稀な症例を報告した.症例は77歳,男性,食欲不振と嘔気を主訴に来院.内視鏡検査では胃下部の隆起局面が幽門輪内に入り込み幽門が狭窄されていた. CTおよび超音波検査では,十二指腸内腔に胃内より連続した9 cm大の充実性腫瘤を認め,胃腫瘍の嵌入と診断した.開腹にて胃壁は幽門直前で重積様に陥凹し,十二指腸は腫瘍により拡張し壁は肥厚していた.胃内へ腫瘍は還納されず,胃幽門側および腫瘍を含む十二指腸を切除した.腫瘍は胃下部小彎の90×70×30mm大のBorrmann 1型,深達度MPの高分化型腺癌であった.
  • 呉 成浩, 金子 哲也, 所 隆昌, 森 俊明, 中尾 昭公
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2157-2161
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    幽門輪温存膵頭十二指腸切除術は,従来の膵頭十二指腸切除術と比較し術後長期の経口摂取量,体重増加に優位な術式として広く知られているが,しばしば術後早期の胃排泄遅延を起こすため経口摂取が遅れ入院期間が延長する場合がある.今回われわれは幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後の胃排泄遅延に対しエリスロマイシンの投与が有効であった1例を報告する.症例は62歳,男性.肝転移を合併した進行膵頭部癌にて幽門輪温存膵頭十二指腸切除術施行された.術後胃排泄遅延を起こしたため,エリスロマイシンの少量持続点滴静注投与を開始したところ症状の軽快をみた.投与後の胃電図を確認したところ,投与前に比し3 CPM波形の増加と,波形振幅(power product)の増大が認められた.幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後で器質的通過障害が認められない胃蠕動不良による経口摂取困難症例にはエリスロマイシンの少量持続投与が有効であると考えられた.
  • 日下 純男, 石黒 保直, 菊池 俊弘, 伊藤 達朗, 小野 貞英, 斎藤 和好
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2162-2167
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれは潰瘍形成,出血を反復した十二指腸原発GISTの症例を経験した.症例は77歳,男性.上部消化管透視,内視鏡検査にて十二指腸第1部から第2部に潰瘍と高い周堤を伴う隆起性病変を認め,腹部CT,超音波検査にて十二指腸に腫瘤性病変を認めた.生検で間葉系悪性腫瘍が疑われ手術を施行,術式は膵頭十二指腸切除術を選択した.十二指腸第2部を中心に最大径9 cm大の充実性腫瘍を認め,病理組織学的には類円形核の紡錘形~多角形細胞が線維束状ないし充実性に増生し核分裂像は平均4.7個/50 HPFであった.免疫染色ではc-kit, CD34, vimentinが陽性, α-SMA, HHF-35, S-100で部分的に陽性で, GIST, combined type, malignantと診断した.本邦では免疫染色で確診した十二指腸原発GISTの報告は本症例を含め15例である.本症例も高危険度に分類され注意深い経過観察が必要である.
  • 佐藤 榮作, 荻原 菜緒, 高田 英輝, 中塩 達明, 山内 晶司
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2168-2170
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の男性,腹痛を主訴に来院.胆嚢炎の診断にて,緊急手術を行った.開腹時胆汁様の腹水と胆嚢穿孔を認めた.胆嚢摘出術を行った,同時に回腸に肉芽腫を認めた.小腸部分切除術を行った.切除標本では小腸粘膜には変化を認めなかったが,切除部位にアニサキスが迷入しており,同部の壁の肥厚を認めた.アニサキスは穿通し生きたまま摘出された.病理組織所見では,アニサキスの迷入と好酸球主体の炎症細胞浸潤を認めた.腫瘤はアニサキス虫体を中心とした好酸球肉芽腫であった.小腸アニサキスは比較的稀な疾患であり術前診断は一般的に困難である.胆嚢炎を併発した小腸アニサキス症を経験したので報告する.
  • 和久 利彦, 渡辺 和彦, 高木 英幸
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2171-2174
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    1990年から2001年までの12年間に当院で手術を行ったシートベルト着用者における小腸損傷6例を経験した.年齢は18歳から75歳,男性2例,女性4例であった.小腸損傷の診断は難しく,術前に正診できたものはなかった.初診時には筋性防御などの腹膜刺激症状,直接的所見の遊離ガス像および間接的所見の腸管壁肥厚・腹膜腔内液体貯留の検出率は低いが,時間の経過とともにいずれの検出率も高くなった.シートベルトを着用した腹部外傷症例は,入院の上慎重な経過観察を行い,手術の時期を逸することがないように注意することが肝要である.また靱帯の牽引力,シートベルトと脊椎との間に生じる直達外力,前腹壁からの介達外力,小腸内容物の存在,腸管の癒着などの要因が組み合わさって損傷機序に関与したと推察され,シートベルトは腹部の外傷の予防には有効ではなく,今後エアバッグシステムの装備を考慮する必要がある.
  • 田中 修二, 本間 英之, 木原 一
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2175-2178
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は67歳,男性で心房細動にて治療中であった.突然の上腹部痛にて発症し選択的上腸間膜動脈造影にて中結腸動脈分岐部付近の本幹閉塞を認めた.急性上腸間膜動脈塞栓症と診断し発症約21時間後に血栓除去術を行った.血流の再開後腸管の虚血は著明に改善し腸切除を加えることなく救命しえた.急性上腸間膜動脈塞栓症は迅速な診断,治療が必要な今日でも死亡率の高い重篤な疾患である.
    発症後約21時間経過した上腸間膜動脈近位部の閉塞にかかわらず血行再建のみで救命しえた稀有な1例であり若干の文献的考察を加え報告した.
  • 首藤 恭広, 中井 澄雄, 青野 豊一, 栗原 陽次郎, 西川 和宏, 斎藤 俊輔
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2179-2183
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    十二指腸空腸移行部の癒着が原因となり腸閉塞をきたした成人腸回転異常症の稀な1例を報告する.症例は70歳,女性.腹部膨満,嘔吐を主訴に平成14年9月5日入院した.十二指腸空腸移行部近傍の腸閉塞と診断したが,諸検査を行うも原因は同定できなかった.保存的治療にて改善せず,平成14年10月2日開腹術を施行した. malrotation typeの腸回転異常症であり,十二指腸空腸移行部と回腸末端の癒着が原因となり空腸が屈曲したために生じた腸閉塞と判明した. Ladd手術と虫垂切除を施行した.発症1年半前の腹部CT検査を再読したところ,上腸間膜静脈が上腸間膜動脈の左側に位置し,正常と反対の走行を示すいわゆるSMV rotation signが認められ,中腸軸捻転と考えられた.しかし,腸閉塞発症後のCT検査ではこれら動静脈は正常の位置関係にあった.中腸軸捻転を繰り返すことにより生じた癒着が腸閉塞の原因と推測される稀な病態であった.
  • 谷口 史洋, 松田 哲朗, 津田 知宏, 相川 一郎
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2184-2187
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例1は42歳,男性.左上腹部痛を主訴に受診.腹部CT検査で腸管内にhigh densityの線状陰影を認め,入院となった.魚骨による小腸穿孔と診断し,緊急手術を施行した.小腸に魚骨による穿孔を認めた.魚骨を除去し,穿孔部を縫合閉鎖した.
    症例2は57歳,女性.鯛の味噌汁を食べた後,咽頭不快感と心窩部痛を認め外来受診. 2日後,呼吸困難にて再受診.食道穿孔による急性縦隔洞炎と診断し,緊急手術を施行した.頸部外切開より食道を露出し,食道内異物を除去し,穿孔部を直接縫合したのち,ドレナージを行った.術後,軽度の縫合不全を生じたが,保存的治療にて軽快した.
    魚骨による消化管穿孔は比較的稀であり,その術前診断は非常に困難である.われわれは,術前診断しえた2例の魚骨による消化管穿孔を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 高林 司, 金井 歳雄, 中川 基人, 坂田 道生, 松本 圭五, 中村 威
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2188-2192
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    急性腹症を呈した腹部結核の2手術例を経験したので報告する.症例1は29歳,男性.右下腹部痛,発熱を主訴に来院.急性虫垂炎による回盲部膿瘍の疑いで緊急手術を施行した.回盲部腸間膜に径5cmの腫大したリンパ節を認め,切除した.病理組織学的には乾酪壊死を伴う類上皮細胞肉芽腫を認め,抗酸菌染色陽性であったため,結核リンパ節炎と診断した.症例2は28歳,男性,強い腹痛,嘔吐を主訴に来院.絞扼性イレウスの疑いで緊急手術を施行した. Treitz靱帯より約2mの回腸に高度の狭窄を示す輪状潰瘍を認め,小腸部分切除を施行した.病理組織学的には乾酪壊死を伴わない類上皮細胞肉芽腫を認め,抗酸菌染色陽性であったため,小腸結核と診断した. 2例とも抗結核薬による追加治療を施行した.本邦の結核罹患率はいまだに高く,若年者の急性腹症においても,鑑別診断として結核を念頭に置いた診療が必要であると思われる.
  • 宇野 雄祐, 平野 誠, 野澤 寛, 原 拓央, 稲木 紀幸, 橘川 弘勝
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2193-2197
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は22歳,女性.下血のため入院となった.上下部内視鏡検査で明らかな出血点はなく,腹部超音波検査・CT検査でも異常所見はなかった.小腸病変を疑い検索を行ったが,小腸造影検査, 99mTc-O4シンチグラフィとも異常所見はなかった.しかし,腹部血管造影検査で卵黄動脈を認め, Meckel憩室からの出血と診断し,手術を施行した.術中所見ではMeckel憩室は内翻しており,同部を含む回腸部分切除術を施行した.切除標本では,内翻Meckel憩室の粘膜から連続する腫瘤を認め,その頂部は潰瘍を形成していた.組織検査では腫瘤内に異所性膵組織を認め,腫瘤頂部の潰瘍部分に肉芽組織がみられた.以上より,迷入膵組織を伴った内翻Meckel憩室症と診断した.本症例では,異所性膵組織を含む腫瘤が先進部となってMeckel憩室が内翻し,その機械的刺激によって腫瘤頂部の上皮が破綻し出血をきたしたと推測された.
  • 岩本 明美, 熊谷 祐介, 栗栖 泰郎, 豊田 暢彦, 岩永 幸夫
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2198-2202
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, IBL-like T cell lymphomaを合併した小腸MALTomaの1例を経験したので報告する.症例は71歳,女性.腹痛を主訴に来院した. CTにて回腸の肥厚およびリンパ節の腫脹を認め入院となった.小腸造影にて回腸末端に腫瘍による狭窄を,血管造影にて回腸枝に腫瘍血管と腫瘍濃染像を認めlymphomaを疑い回盲部切除術を施行した.回腸末端より10cmに限局潰瘍型腫瘤を認めた.病理組織ではHE染色において, LELおよび形質細胞の混在を認め,免疫染色の結果B細胞の単クローン性増殖を認めたためMALTomaと診断した.また術前より鼠径部リンパ節腫大を認め,生検にてIBL-like T cell lymphomaの診断であった.術後はCHOP療法を4クール施行したが,平成14年6月術後10カ月目にIBL-like T cell lymphomaの再発にて永眠された.
  • 伊澤 祥光, 田村 明彦, 大関 美穂, 松田 純一, 赤松 秀敏, 松井 淳一
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2203-2206
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は65歳,女性.右下腹部痛,発熱のため当院受診.急性虫垂炎と診断し,腹部所見は軽度であり保存的治療を行い,症状はいったん軽快した.経口摂取を開始したところ症状再燃し, CTでは壁の肥厚した虫垂と盲腸壁に強い造影効果を認めた.白血球数も上昇したため手術を行った.虫垂は炎症が強く,盲腸壁は硬く腫瘤状であったため,悪性疾患も疑い回盲部切除術を施行した.切除標本は肉眼的に急性虫垂炎と思われた.術後,理学所見は改善したが,白血球数の異常な上昇と末梢血中に芽球を認め,病理組織学的に虫垂と盲腸壁に白血病細胞のびまん性浸潤を認め,骨髄生検を行い急性骨髄性白血病M2と診断した.虫垂炎を伴う白血病は稀であり,更に虫垂炎症状を初発とした白血病は非常に稀である.本例では,虫垂根部の白血病細胞浸潤のため急性虫垂炎が惹起されたと考えられた.
  • 森山 大樹, 中村 賢二郎, 北田 敏雄, 井上 健, 小川 芳明, 明石 良夫, 三好 晃
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2207-2210
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は78歳,女性.大腸内視鏡検査で盲腸の虫垂開口部に隆起性病変があり,生検組織診断はGroup 3,腺腫の診断で腹腔鏡下に虫垂と盲腸の一部を含む切除を行った.切除標本の病理診断は虫垂の長径13mmの腺管絨毛腺腫内表層に3mm径の高分化腺癌を認める腺腫内癌で,リンパ節転移はなかった.術前に虫垂腫瘍が診断された際の治療法選択は難しい.本例は,虫垂遠位端が不明であるがゆえに大きさが1cm以上の腺腫と考えられ,癌併存を疑う腺腫と診断し,虫垂および回盲部の広範囲詳細な観察を目的として腹腔鏡下手術を選択した.
  • 湯川 寛夫, 永野 篤, 藤澤 順, 松川 博史, 清水 哲, 富田 康彦
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2211-2216
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性.既往歴:慢性関節リウマチにて内服中.下痢,血便にて発症.血清アメーバ抗体陰性,便培養陰性,便中アメーバ原虫陰性. 2回の大腸内視鏡検査で粘膜びらん,小潰瘍がみられたが,生検を行うもアメーバ虫体は証明されなかった.炎症性腸疾患の増悪を疑いステロイド投与したところ上行結腸に穿孔をきたした.回盲部切除を施行したが第6病日再穿孔した.ドレナージ良好につき保存的に治療し,病理標本からアメーバ赤痢の確定診断を得てメトロニダゾールの投与を開始したところ軽快し退院となった.
    1970年から2003年の劇症型アメーバ赤痢による大腸穿孔の本邦報告例は自験例を含め58例と稀であるが,死亡率は72.4%と予後は極めて悪い.粘血下痢便を主訴とする患者に対しては本疾患も念頭に置き,繰り返し検査を行うべきである.手術に際しては過剰な侵襲を避け,正確な診断のもとすみやかに抗アメーバ療法が施行されるべきである.
  • 金子 猛, 西平 友彦, 鷲田 昌信, 石井 隆道, 岩井 輝, 井上 章
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2217-2220
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は84歳,女性.腹部手術の既往はなかった.突然出現した腹痛と嘔気を主訴に当院に来院した.腹部全体が膨隆し下腹部に圧痛を認めた.腹部単純X線で鏡面像を伴う拡張した小腸が認められ腸閉塞と診断された.腹膜刺激症状を認めなかったため,イレウス管を留置し精査を行った.イレウス管造影と注腸造影により,回盲部の尾側に両端に狭窄像を有する拡張した小腸係締を認めた.この拡張した小腸係締は腹部CT上では盲腸の背側に位置していたため,盲腸後窩ヘルニアを強く疑った.開腹すると回腸末端から口側約80cmの部位で約4cmの回腸係締が盲腸後窩に嵌頓していた.還納後,盲腸を後腹膜へ固定しヘルニア門を閉鎖した.盲腸後窩ヘルニアは比較的稀な疾患であり,術前診断は困難とされている.本例ではCTが術前診断に有用であり,消化管造影後に撮影したため盲腸周囲ヘルニアのタイプ診断も可能であった.
  • 松村 祥幸, 直江 和彦, 奥芝 知郎, 中久保 善敬, 渡辺 不二夫, 川村 健
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2221-2224
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    横行結腸間膜に発生した脂肪肉腫の1例を経験した.症例は60歳の男性.近医での健診で腹腔内の巨大腫瘍を指摘され来院した.腹部CTで腹腔内に長径約20cmの境界明瞭な腫瘤を認め,腹部MRIではT1強調像でlow intensity, T2強調像でhigh intensity,内部に脂肪抑制像にて抑制される成分を含む腫瘤であった.腹部血管造影では中結腸動脈末梢枝が腫瘍の栄養血管であることが確認された.以上より腸間膜原発の脂肪肉腫を第一に疑い,手術を施行した.腫瘍は横行結腸間膜に存在しており,横行結腸合併切除を伴う腫瘍摘出術を施行した,病理組織診断は粘液型脂肪肉腫(myxoid liposarcoma)であり,線維性被膜外にも腫瘍細胞を認めた.術後9カ月の現在,再発の兆候は認めていない.
  • 古川 智邦, 今村 祐司, 竹末 芳生, 大毛 宏喜, 香山 茂平, 末田 泰二郎
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2225-2228
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は27歳,男性で, 16歳時にCrohn病による回腸末端炎を発症した. 22歳時にS状結腸および直腸への内瘻形成を生じ,回盲部切除・S状結腸部分切除・瘻孔閉鎖術を施行され,さらに24歳時には複雑痔瘻を発症しSetonドレナージ術を施行された.その後, 26歳時に肛門部痛の悪化を訴えて来院した時には,肛門部に潰瘍を伴う硬い腫瘤を触知し, CT・MRIにても痔瘻と直腸を含む腫瘤を認めた.肛門部からの生検にてmucinous carcinomaの診断で腹会陰式直腸切断術を施行したが,非根治術に終わり,放射線療法を施行した.その後症状の増悪と腫瘍マーカーの上昇のために化学療法(CPT-11)を開始し,現在担癌生存中である.本症例からわれわれは, Setonドレナージにより痔瘻の感染の制御が出来ていても,さらに癌の発生の可能性も考慮したfollow upが大切だと考えた.
  • 二村 直樹, 松友 将純, 安村 幹央, 立山 健一郎, 多羅尾 信, 阪本 研一
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2229-2232
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    腸重積を合併した4型大腸癌の1例を経験したので報告する.
    症例は54歳の女性で主訴は腹痛である.入院時,腹部は平坦,軟で右側腹部に手拳大の腫瘤を触知した.入院時血液検査でCEAが4,100ng/mlと上昇していた.腹部超音波検査,腹部CT検査で上行結腸に同心円状の層状構造が認められ,腸重積と診断した.注腸検査では上行結腸に蟹の爪様の陰影欠損を認めた.入院後,腸閉塞が進行して腹痛が強くなり,腸重積を合併した大腸癌を疑って入院4日目に手術を行った.開腹所見では腹水,腹膜播種を認めた.上行結腸に手拳大の腫瘤があり,回盲部型の腸重積を認めた.右半結腸切除術を行った.標本では盲腸中心に上行結腸,回腸に及ぶ4型腫瘍を認めた.病理組織検査では中分化~低分化の腺癌で,リンパ管侵襲が著明であった.術後5カ月で癌死した.
  • 石丸 啓, 亀井 秀策, 高橋 孝行, 藤崎 真人, 中村 利夫, 中村 達
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2233-2237
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は, 68歳,男性.発熱,下痢,血便を主訴に来院.イレウスの診断にて入院.経肛門的腸管減圧チューブを挿入し,緊急手術を回避した.その後の検査で膀胱に浸潤・穿通したS状結腸癌と診断した.充分な大腸前処置を行い,一期的切除・吻合術を施行した.周術期に大きな合併症はなく,安全に管理しえた.
    文献を検索した限り,膀胱に浸潤・穿通したS状結腸癌患者に経肛門的腸管減圧チューブを使用した報告例はない.貴重な症例と考えられ,若干の文献的考察を含め報告する.
  • 廣川 文鋭, 尾野 光市, 林堂 元紀, 落合 実, 白井 康嗣, 冨田 裕彦
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2238-2243
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回われわれは直腸・横行結腸癌術後に播種性血管内血液凝固症候群(以下DIC)を伴う播種性骨髄癌症を経験したので,文献的考察を加え報告する.
    症例は70歳の女性.進行直腸癌で低位前方切除術を施行した.その3カ月後,横行結腸癌に対し結腸右半切除術を施行した.術後縫合不全を認め, 21日目に回腸人工肛門を造設した後,全身状態が改善し経口摂取可能となったが, 41日目にDICを発症した.まず最初に,縫合不全に関連した腹腔内感染症によるDICと考え,重傷感染症とDICに対する治療を施行したが,効果は認められなかった.最終的に骨髄穿刺により播種性骨髄癌症と診断されたが,抗癌剤治療を施行できず病状が悪化し,術後58日目に死亡した.
    消化管原発の播種性骨髄癌症は稀な病態であり, DIC発症前に発見し治療することが重要であると考える.
  • 坂田 好史, 佐々木 政一, 森 一成
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2244-2247
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は1997年に直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行した75歳の男性. 2002年3月,食欲不振から脱水状態となり,当院内科を受診した際,人工肛門部の腫瘤を指摘され当科へ紹介された.腹部は平坦,軟であったが,人工肛門に7.5×7.5cm大の腫瘤を認め,生検の結果は腺癌であった.他臓器への転移は認めず,人工肛門および腹壁とともにS状結腸切除術を施行し,下行結腸を用いて人工肛門を再造設した.術後経過は良好で, 10カ月経過した現在,再発の徴候を全く認めず健在である.
    人工肛門に癌が発生することは極めて稀であり,本邦では本症例を含めわずかに39例の報告をみるに過ぎない.そのなかでも腹会陰式直腸切断術後の本症例のごとく,原発性人工肛門癌の報告例は24例とさらに少ないことから,文献的考察を加えて検討した.
  • 三浦 昭順, 飯田 道夫, 千葉 哲磨, 関田 吉久, 堀田 稔, 山崎 繁
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2248-2251
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,女性.平成9年12月意識混濁,異常行動あり当院入院,外来通院していた.平成13年10月28日かぜ症状と歩行時ふらつきが出現したため,外来受診.脳CTで明らかな異常所見を認めなかったが,血清アンモニア値は266umol/lと上昇,羽ばたき振戦を認め,精査加療目的にて入院となった.腹部血管造影検査やカラードプラ検査で門脈左枝から肝内門脈瘤を経由し左肝静脈に直接流入する短絡路を認め,平成14年1月7日,肝内門脈-左肝静脈短絡路の診断にて外科的結紮術を施行した.術後経過は良好,神経症状は消失し血清アンモニア値も正常化したため術後23日目に退院した.術中の肝生検は特発性門脈圧亢進症の診断であった.肝内門脈-肝静脈短絡路は比較的稀な疾患で,発生機序や診断,治療法など不明な点が多く,示唆に富む症例であると思われた.
  • 水島 恒和, 山上 裕子, 甲斐 康之, 吉川 澄
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2252-2256
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    胆嚢摘出術後23年目に発症した胆嚢管結紮糸を中心とする肉芽腫による良性胆道狭窄の1例を経験したので報告する.症例は65歳,男性. 42歳時に胆石症に対する胆嚢摘出術の既往を有する. 1997年2月黄疸,食欲低下にて近医を受診, T. Bil上昇を認め当科紹介された.腹部超音波,腹部CT検査上末梢胆管の拡張を認め,総胆管右側に腫瘤が疑われた.胆道造影では総胆管に3cmの狭窄を認めた.肝門部胆管癌を疑い開腹手術を施行した.開腹所見では径1.5cm大の腫瘍が総胆管を右後方より圧排する形で存在したため,肝左葉切除,胆管切除術を施行し右肝管空腸吻合にて再建した.切除標本でも総肝管分岐部右側に1.5×1.2cmの腫瘍を認めたが,病理組織学的に胆嚢管の結紮糸を中心とする肉芽腫と診断された.異物を原因とする良性胆道狭窄の報告は稀であり,文献的考察を加えて報告する.
  • 清水 宏明, 竹内 男, 伊藤 博, 木村 文夫, 外川 明, 宮崎 勝
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2257-2261
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    われわれは,胆管空腸吻合術後の吻合部狭窄に対してexpandable metallic stent (EMS)が留置され,その7年後のステント閉塞に対し,外科的治療を施行した1例を経験したので報告する.症例は48歳,女性.主訴は発熱,黄疸.前医にて先天性総胆管拡張症の診断にて胆管切除,胆管空腸吻合術を施行.その1年後に吻合部狭窄を発症し再吻合術を施行したが,術後再び狭窄をきたしたため, EMSを留置した.以後,胆管炎症状を繰り返していたが, EMS留置7年後に急性閉塞性化膿性胆管炎となりPTBD施行し,ステント部での胆管閉塞を認め当科紹介となった.当科にてPTCSにて癌合併なしを診断後,開腹にて胆管空腸吻合部を切開しEMSを除去,さらに吻合部とその肝側の肥厚した胆管を切除し,肝門部にて胆管空腸再吻合術を施行した. RTBDステントチューブは再狭窄予防の目的で術後6カ月で抜去した.術後17カ月現在経過良好である.
  • 稲吉 厚, 吉田 泰, 西田 英史, 橋本 大輔, 八木 泰志, 蔵野 良一
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2262-2265
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    今回,われわれは胆嚢癌と鑑別が困難であった胆嚢乳頭状過形成の1例を経験したので報告する.患者は58歳の女性で,上腹部痛を主訴に近医を受診した.超音波検査で胆嚢腫瘤を指摘され,精査加療目的に当院を紹介受診した.当院での超音波検査で胆嚢に2.3cm大の腫瘤を認め,肝に一部浸潤を認めた.カラードプラ, Levovistによる造影エコーおよび造影CT検査で,胆嚢腫瘤は多血性であった.胆嚢癌の診断のもとに胆嚢摘出,肝床切除および肝外胆管切除術を施行した.病理組織所見では胆嚢の乳頭状過形成であり,腫瘤と連続して肝床部に膿瘍を形成していた.胆嚢過形成性ポリープは比較的頻度が低く,本例のごとく腫瘤径が1cm以上の症例は稀である.画像診断上,胆嚢癌との鑑別が困難であるため,術中病理検査を行うなど,慎重な対応が必要であると考えられた.
  • 吉本 裕紀, 清水 良一, 佐伯 俊宏, 原田 俊夫, 前田 祥成, 和田守 憲二
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2266-2270
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は79歳の女性.発熱,腰背部痛にて近医を受診,自立歩行困難となり当院紹介入院となった.入院時CT検査などで胆石・胆嚢炎,孤立性肝膿瘍および急性化膿性脊椎炎と診断され,保存的治療を施行した.抗生剤投与後約1カ月で症状は改善,自立歩行も可能になり,脊椎の悪性疾患は否定できた.しかしCT, MRI所見から胆嚢癌が否定できず,胆石・胆嚢炎の根治・診断目的で胆嚢摘出術を施行した.組織学的検索にて進行胆嚢癌と診断,二期的に肝床切除術, D2郭清を伴う胆管切除術を施行した.急性化膿性脊椎炎も治癒し退院となった.孤立性肝膿瘍合併胆嚢癌の報告は,本邦で自験例を含め8例であった.しかし本症例のごとく肝膿瘍から化膿性脊椎炎を続発した報告例はなく,非常に稀な症例であった.
  • 五十嵐 章, 伊藤 孝, 稲葉 圭介, 清水 亨
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2271-2276
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    Groove pancreatitisは,膵頭部と総胆管,十二指腸に囲まれた溝(groove)内に発生した限局性慢性膵炎の特殊型である.今回,われわれはgroove pancreatitisを疑った十二指腸狭窄の1例を経験したので報告する.症例は79歳の女性で,上腹部不快感を主訴に当科に入院となった.胃内視鏡検査にて十二指腸下行脚に深い潰瘍がみられ,保存的治療を開始した.入院後8日目より嘔気,嘔吐が出現し,上部消化管造影検査にて十二指腸の高度狭窄を認めた.腹部造影CT検査所見では,膵頭部と十二指腸下行部に不整な染まりの腫瘤像がみられ悪性も否定できず手術を施行した.病理組織検査では,膵頭部と十二指腸が接する領域を中心に,比較的限局する瘢痕化がみられgroove pancreatitisが疑われた. Groove pancreatitisは比較的稀であり,文献的考察を加え報告する.
  • 矢田 清吾, 山口 剛史, 近石 寛, 倉立 真志, 余喜多 史郎
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2277-2279
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,女性.急性膵炎のため,持続動注療法,仮性膵嚢胞ドレナージ術を行った.絶食のうえ長期高カロリー輸液を必要とし,総合ビタミン剤としてはMVIを使用した.入院約4カ月目に汎血球減少をきたした.最初は原因が分からず,輸血,血小板輸血, G-CSFにて治療を行ったが改善しなかった.血清の葉酸値を測定したところ0.8ng/ml以下と低下しておりこの時点で葉酸欠乏による汎血球減少と診断した.葉酸を連日皮下注射した所,速やかに改善を認めた. 3カ月以上の長期高カロリー輸液を必要とする場合には葉酸を含む総合ビタミン剤を使用すべきであった.また,葉酸欠乏による汎血球減少の前に大球性貧血が出現しており,この時点で葉酸欠乏を疑うべきであったと反省させられた症例であった.
  • 多羅尾 信, 松友 将純, 二村 直樹, 市橋 正嘉
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2280-2283
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    患者は飲酒癖の男性.平成5年5月(64歳時),黄疸,腹痛で発症,諸検査で下部胆管癌,前庭部の早期胃癌と診断され同年6月に膵頭十二指腸切除術(Child変法)施行した.組織診断で腫瘤形成型慢性膵炎による下部胆管狭窄および早期胃癌と判明した.その後も飲酒癖は続き,平成10年6月(69歳時)に慢性膵炎急性増悪で再入院した. CT,超音波検査で膵管拡張をみるが膵石様陰影は認めない.内科的治療で完治せず再手術を行った.残置膵は全体に極めて硬く,体部はやや腫大し,尾部は萎縮している.膵体部前面を膵管に沿い4cm切開したところ,多数の小さな膵石様物質が溢れ出た.結腸前に膵管・空腸側側吻合を行い, Roux-Y法で再検した.膵石様物質は1~5mmの軟らかい草色で,結石分析で蛋白96%であり, protein plugと診断した.
  • 平井 俊一, 江原 和男, 北村 泰博, 井貝 仁
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2284-2288
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性で, 2000年1月27日に十二指腸乳頭部癌に対して,膵頭十二指腸切除術(以下PD),膵胃吻合再建術を施行した.同年9月頃より腹痛,背部痛,糖尿病の悪化をきたして9月27日入院となった.腹部CT検査にて残存膵の萎縮と膵管拡張,胃内視鏡検査で膵吻合部の潰瘍を認め,膵管口は確認できなかった.これらより膵胃吻合部膵管口狭窄と診断し, 10月24日吻合部切除,再吻合術を施行した.本症例は,膵断端の胃内挿入法で再建されており,術後に吻合部の胃粘膜再生が不良で,同部の潰瘍形成が持続していた.このため慢性炎症が持続し,膵管口狭窄をきたしたものと考えられ,膵胃吻合部狭窄の主要な原因の一つではないかと思われた.本症例では,再手術時に膵管胃粘膜縫合を加えた再建を行っており,術後早期に胃粘膜の再生と症状の軽快を認めた.膵胃吻合時には,可能な限り膵管胃粘膜縫合を加えるべきであると思われた.
  • 中川原 寿俊, 上藤 聖子, 岡田 章一, 吉光 裕, 上田 順彦, 澤 敏治
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2289-2292
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    十二指腸温存膵頭切除術は悪性度の低い膵頭部病変に対して,機能を温存しつつ診断,治療が可能な術式として普及してきている.当科では, Kocher授動術を行わずに総胆管を温存する方法で4症例を経験したので報告する.適応は膵頭部に限局した良性または境界病変とした.手術のポイントは, 1.膵頭全切除をする. 2. Kocher授動術を行わない. 3.十二指腸辺縁血管を温存する. 4.胆道を温存する. 5.膵管空腸粘膜吻合でRoux-en Y再建を行う.の以上5項目である.
    手術時間は平均6.2±0.8時間,術中出血量は平均905±199mlで手術死亡0例であった.術後合併症は胆管,十二指腸の血流不全に起因した合併症は認めなかった.術後全粥食開始日は平均17±3.4日であった.以上より本術式は,病巣を完全に切除しかつ臓器機能を温存するという縮小手術の目的にかなった機能温存術式であると考えられた.
  • 飯田 俊雄, 末永 昌宏, 武内 有城, 小林 徹, 飛永 純一, 三輪 高也
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2293-2297
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は56歳,男性で,黄疸・発熱が出現し入院. CTで膵頭部に直径20mm大の腫瘍を認め,鈎部にも直径25mm大の腫瘍を認めた.胆道造影所見では総胆管末端の途絶と主膵管の拡張を認めた. Vater乳頭は乳頭直下に潰瘍性病変を認め,生検でneuroendocrine cell carcinomaと診断され,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本では膵頭部上部に直径21×15mmの腫瘍を認め,膵鈎部にも腫瘍を認めた.組織所見では膵組織内に腫瘍が大部分存在しており,膵鈎部の腫瘍は,リンパ節転移であった. TS2,結節型pT3{pCH(+), pDU(+), pS(-), pRP(-), pPV(-), pA(-), pPL(-), pOO(-)} pN3, sM0 fStage IVbであった.免疫染色ではsynaptophysin, chromogranin, NSE染色が全て陽性であった.以上より膵原発neuroendocrine cell carcinomaと診断した.術後5カ月で大動脈周囲リンパ節,肺転移をきたし,化学療法を施行中である.
  • 伊藤 康平, 石井 芳正, 阿部 宣子, 中山 浩一, 高橋 正泰, 竹之下 誠一
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2298-2301
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は17歳,女性.左側腹部痛を主訴に来院した.発熱,頸部リンパ節腫大,軽度貧血,肝機能障害を認め, CTと腹部エコーにて脾外側被膜下に出血像を認めた.末梢血血液像から伝染性単核球症(IM)と診断され,これによる脾腫の破裂を疑い入院となった.入院後,安静などの保存的治療で貧血の進行を認めなかったため経過観察のみで退院となった. IMに伴う脾腫の自然破裂は,非常に稀であり発生率はIM患者の0.1~0.5%と報告されている.脾臓は免疫防御において重要な臓器であり,脾破裂においても可能な限り脾臓を温存するべきであり,保存的治療の適応を慎重に吟味し, CTや腹部超音波検査などを用いて厳重に経過観察する必要がある.また,臨床症状が軽快した後も脾腫が続くことがあるため経過観察が必要である.
  • 湯浅 康弘, 沖津 宏, 本田 純子, 梅本 淳, 門田 康正
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2302-2305
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は18歳,女性.主訴は腹部膨満感.既往歴に特記事項なし.平成13年, 11月に腹部正中に約5cm大の腫瘤を自覚するも放置していた.平成14年に入り急速に増大傾向認め,画像上脾嚢胞疑いにて当院産婦人科より当科紹介となった.腹部所見として,下腹部を中心に可動性のある弾性硬の巨大な腫瘤を触知した.血液一般検査に異常なく,腫瘍マーカーはCA125が44U/mlと軽度上昇を認めた.嚢胞は下極に限局し,径約14×15×7cmであった.以上より3月腹腔鏡下用手的手術(以下HALS)により脾を授動し,腹腔外で嚢胞を含め脾部分切除を行った.術後病理診断は上皮成分を欠く仮性嚢胞であった.また術後経過は良好で術後第6病日退院, 1年以上経過した現在,再発徴候はない.近年の画像診断の進歩から脾嚢胞も報告例が増加しているが,本症例のような巨大嚢胞に対してHALSを用い脾臓温存術を施行した例はなく若干の文献的考察を加え報告する.
  • 今井 俊, 山本 裕, 萬谷 京子, 米川 甫
    2003 年 64 巻 9 号 p. 2306-2308
    発行日: 2003/09/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    症例は31歳,男性で,右下腹部痛を主訴として来院した.腹部CT検査および超音波検査により虫垂の腫大と臍下部から膀胱上部に至る嚢胞性病変を認め,精査加療目的にて当科入院となった.急性虫垂炎の悪化により,緊急手術を施行した.術中臍下部より腹横筋膜と腹膜の間に,感染所見を伴わない淡黄色透明な液に満たされた嚢胞を認めた.虫垂炎および尿膜管嚢胞と診断し,虫垂切除術および嚢胞摘出術を施行した.無症候性尿膜管嚢胞の報告は,検索しえた範囲では本邦5例目であり,無症候性尿膜管嚢胞の報告が化膿性尿膜管嚢胞に比べて極めて少ない.
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