日本臨床外科学会雑誌
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胸壁原発良性線維性組織球腫の1例
金武 和人日野 晃紹岩田 尚
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キーワード: 線維性組織球腫, 胸壁, 良性
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2003 年 64 巻 9 号 p. 2113-2116

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抄録

胸壁原発良性線維性組織球腫の1例を経験した.症例は50歳,女性.主訴は左胸部痛.約半年前から左乳房下縁の疼痛を自覚するようになり,次第に増強するため当院を受診した.左乳房下縁の胸壁に可動性のない直径5cm大の硬い腫瘤を触知し,圧痛が著明であった.全身検索にて他臓器に異常所見はなく,画像診断上と組織診で悪性所見を認めなかった.胸壁原発良性腫瘍として手術を施行した.腫瘍は第7肋骨に強固に癒着しており第8肋骨にも接していたため,第7肋骨と第8肋骨の一部を含めて腫瘍を切除した.病理組織検査にて良性線維性組織球腫と診断された.術後1年8カ月を経過したが再発の所見はない.線維性組織球腫の中には組織学的に良性と診断されても再発を繰り返す臨床悪性のものの報告もあり,引き続き経過観察が必要と考えている.

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