日本臨床外科学会雑誌
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保存的に治療しえた伝染性単核球症に伴う脾破裂の1例
伊藤 康平石井 芳正阿部 宣子中山 浩一高橋 正泰竹之下 誠一
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キーワード: 脾破裂, 伝染性単核球症
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2003 年 64 巻 9 号 p. 2298-2301

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抄録

症例は17歳,女性.左側腹部痛を主訴に来院した.発熱,頸部リンパ節腫大,軽度貧血,肝機能障害を認め, CTと腹部エコーにて脾外側被膜下に出血像を認めた.末梢血血液像から伝染性単核球症(IM)と診断され,これによる脾腫の破裂を疑い入院となった.入院後,安静などの保存的治療で貧血の進行を認めなかったため経過観察のみで退院となった. IMに伴う脾腫の自然破裂は,非常に稀であり発生率はIM患者の0.1~0.5%と報告されている.脾臓は免疫防御において重要な臓器であり,脾破裂においても可能な限り脾臓を温存するべきであり,保存的治療の適応を慎重に吟味し, CTや腹部超音波検査などを用いて厳重に経過観察する必要がある.また,臨床症状が軽快した後も脾腫が続くことがあるため経過観察が必要である.

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