日本臨床外科学会雑誌
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結腸結腸瘻を呈した大腸重複癌の1例
早稲田 正博保田 尚邦神山 陽一御子神 哲也神坂 幸次草野 満夫
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キーワード: 大腸癌, 結腸結腸瘻, 重複癌
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2004 年 65 巻 1 号 p. 231-234

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抄録

結腸癌による消化管内瘻形成のなかでも結腸結腸瘻は稀である.今回,われわれは肺癌放射線治療後3年6カ月を経過し,横行結腸と下行結腸間に瘻孔を形成した結腸癌の1例を経験したので報告する.症例は59歳,男性.左上腹部痛を主訴に来院.腹部CTにて結腸脾彎曲部に壁の肥厚認め,注腸造影検査にて横行結腸,下行結腸間に瘻孔を認めた.結腸結腸瘻を伴う結腸癌と診断し手術施行した.開腹所見では,腫瘍は脾彎曲部に手拳大の腫瘤として触れ,胃体部,後腹膜に浸潤していた.臨床的病期stage IIIaと診断し,左半結腸切除(D3),腹膜合併切除,胃部分切除を施行した.組織学的にもstage IIIaであり,根治度Aが施行された.肝転移,腹膜播種,リンパ節転移は認めず,術後経過は良好で,術後3年10カ月経過した現在,明らかな再発徴候認めず外来通院中である.結腸結腸瘻を含め消化管内瘻を呈する結腸癌においても治癒切除により良好な予後が期待できると考えられた.

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