日本臨床外科学会雑誌
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十二指腸へ嵌入した肝転移を伴う進行胃癌の1例
毛利 紀章深谷 俊介安田 顕松本 幸三水野 勇品川 長夫
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2004 年 65 巻 1 号 p. 83-86

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抄録
症例は85歳男性で肺疾患にて通院中であった.心窩部痛,嘔気・嘔吐を繰り返したため精査入院となった.入院時血液検査では低蛋白血症と腫瘍マーカーの高値を認めた.上部消化管内視鏡検査と上部消化造影検査で8×7cmの胃前庭部腫瘤の十二指腸への嵌入が認められ,腹部CTでは肝S6にLDAを認めた.以上よりAFP産生胃癌の十二指腸嵌入および肝転移と診断した. Poor risk症例であることを考慮し, #4d, 6のリンパ節郭清を伴う胃部分切除と肝楔状切除を選択した.その後は化学療法も施行せずに, 1年8カ月再発を認めていない.胃癌の十二指腸嵌入は多くは前庭部から幽門部に発生した隆起性早期胃癌であり,自験例では噴門の弛緩や十二指腸の拡張から比較的早期に嵌入し,そのまま進行癌へ発育していったとも考えられた.
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