日本臨床外科学会雑誌
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穿孔をきたした劇症型アメーバ性大腸炎の1例
水谷 哲之小林 建仁小木曽 清二岡本 好史大久保 雅之黒川 景
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2004 年 65 巻 10 号 p. 2710-2713

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抄録

劇症型アメーバ性大腸炎1救命例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.主訴は粘血下痢便.潰瘍性大腸炎を疑い,内科に入院した.第6病日,腹痛・血便の増悪が認められた.腹部CTにてfree airを認め穿孔性腹膜炎と診断した.また入院時の大腸生検でアメーバ虫体を認めたためアメーバ性大腸炎の穿孔と診断し,緊急手術を施行した.大腸はS状結腸からRaにかけ約15cmにわたり壊死穿孔していた.穿孔部位を切除し,下行結腸に人工肛門を造設した.術後3日目よりメトロニダゾールの投与を開始し,アメーバ性大腸炎の再然もなく救命しえた.アメーバ性大腸炎は最近増加傾向にあり,その劇症型は術前診断に難渋することが多く,死亡率が高い.劇症化した際にはなるべく低侵襲にとどめる術式選択と,術後早期の抗アメーバ剤投与が有用であると思われた.

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