日本臨床外科学会雑誌
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特異な臨床経過を呈した外傷性膵仮性嚢胞の1例
篠原 永光大塩 猛人朝川 貴博
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2004 年 65 巻 10 号 p. 2759-2763

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抄録

特異な臨床経過を呈した外傷性膵仮性嚢胞の1例を経験したので報告する.症例は4歳,女児. 2002年10月5日腹腔内出血で緊急手術を行ったが腹部打撲による膵嚢胞破裂であった. 1カ月後,腹痛出現し腹部CT検査で膵仮性嚢胞の再発を認め保存的加療を行い消失した.その後も腹部打撲を頻回に認めたが再発はなかった. 9カ月後,持続する腹痛,嘔吐を主訴に受診した.腹部X線写真で胃大彎側の圧排像を認め精査加療目的で入院した.入院時WBC 6,790/μl, CRP 6.32mg/dl,血清AMY 84IU/l,腹部CT検査で左上腹部に大きさ5×5×7cm, 4×3×4cm大の境界明瞭な嚢胞を2個認めた.膵仮性嚢胞再々発の診断で4週間保存的加療を行ったが嚢胞は同大で,初回手術後10カ月して膵嚢胞空腸内瘻化術を施行した.術後8日目の腹部CT検査で嚢胞の消褪を確認した.以後11カ月を経過するが,再発を認めていない.

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