日本臨床外科学会雑誌
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乳癌手術2023例における術後合併症の検討
山内 稚佐子井本 滋和田 徳昭佐伯 俊昭北谷 知己
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2004 年 65 巻 11 号 p. 2833-2838

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抄録

目的:初発乳癌の乳房切除術後の合併症について検討した.対象: 1992年7月から2004年3月31日の間に当科にて乳房切除術を施行した2023症例(含男性乳癌4例)を対象とした.解析項目は術後合併症としての術後出血,漿液腫,創感染,皮弁壊死,心,肺梗塞,マロリーワイス症候群である.これらの発生頻度と症例背景としての年齢,肥満度,腫瘍径,腫瘍占拠部位,術式,術中出血量との関連を調べた.結果:術後出血44例(2%),再開創止血術20例(1.0%),漿液腫196例(10%),創感染15例(0.7%),皮弁壊死24例(1%),肺梗塞3例(0.1%),心筋梗塞1例(0.05%),マロリーワイス症候群1例(0.05%)を認めた.肥満度の高い症例では漿液腫および皮弁壊死の頻度が有意に高かった.考察:術後合併症の予防として,術前の全身状態を評価すること,術中の止血操作を徹底すること,さらに肥満症例では周術期管理について十分に注意することが必要であると考えられた.

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