日本臨床外科学会雑誌
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消化器外科術後に発症したclostridium difficile腸炎の検討
中山 卓也小林 建司坪井 謙羽藤 誠記神谷 保廣伊藤 昭敏
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2004 年 65 巻 11 号 p. 2843-2847

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抄録

術後発症するclostridium difficile腸炎(以下本症)の発症危険因子について消化器外科手術症例を用いて検討した. 1999年1月から2001年12月までの胆嚢摘出術症例149例,消化管手術症例371例を対象とした.術後高熱に引き続き下痢を呈し,クロストリジウムトキシンA検出キット(ユニクイック®)で陽性を示した症例を本症と診断した.胆摘後症例の方が,腸管を直接操作する消化管手術後症例より下痢症状の出現率,本症の発症率は有意に高かった.また胆摘後症例において,腸炎症状を認めた症例と認めなかった症例とで,術式と年齢といった背景因子による差はなかった.しかし,術前に胆嚢炎の治療,検査のため絶食,抗菌薬, H2ブロッカーが使用された症例の方が発症率は有意に高かった.最近,急性胆嚢炎に対して早期手術を選択される傾向にあるが,術後腸炎発症の危険性が増加する傾向からも早期手術が望ましいと思われる.

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