日本臨床外科学会雑誌
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切除痔瘻瘻管の組織像の特徴とその意義
宇都宮 高賢柴田 興彦菊田 信一堀地 義広川野 豊一八尾 隆史
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3110-3119

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抄録

痔瘻根治手術で得られた一次口より二次口に至る組織学的所見について,広範囲膿瘍型7人,膿瘍併存型36人,瘻管形成型25人,瘻管閉鎖型21人について連続切片を作成し検索した.痔核手術で得られた組織の肛門腺19例を対照とした.瘻管内に肛門腺を認めたのは60%で肛門腺上皮には円柱上皮と,扁平上皮化生を示すものとがあった.広範囲膿瘍型,膿瘍併存型,瘻管形成型の円柱上皮肛門腺は,細胞の大きさ,腺管外径,内径とも対照と比べて有意に大きかった.扁平上皮肛門腺では広範囲膿瘍型,膿瘍併存型,瘻管形成型で腺管外径は対照と比較して有意に大きく,内腔は瘻管形成型で閉鎖箇所を認め瘻管閉鎖型で全例閉鎖していた.肛門腺由来の痔瘻形成では,肥大した円柱上皮肛門腺を通して異物が反復侵入し炎症を起こし膿瘍を形成,炎症の中で腺管は扁平上皮化生することにより管腔は閉鎖し,異物の進入をくい止め炎症は消退する.反対に脂肪組織へ炎症が波及すると膿瘍は拡大すると推察された.

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