日本臨床外科学会雑誌
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孤立性小腸転移にて小腸閉塞をきたした胸部上部食道癌の1例
田島 隆行向井 正哉檜 友也大谷 泰雄中崎 久雄幕内 博康
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3161-3164

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抄録

食道癌の小腸転移は稀である.今回,食道扁平上皮癌の小腸転移により腸閉塞症をきたし手術.後日,頸胸部食道に狭窄をきたしステントインステントに治療した1例を経験したので報告する.症例は62歳の男性で,嚥下時のつかえ感で発症,胸部上部食道癌(Ut)に3型食道癌を認めた.多発性肺転移と縦隔リンパ節転移を認めstage IVbと診断し化学療法を施行した.外来経過中の4カ月後に繰り返す嘔吐にて外来受診し腸閉塞のため緊急入院.虫垂切除術の既往があるため癒着による腸閉塞と診断し,腹腔鏡下に癒着剥離を施行したところ小腸に腫瘍性病変を認め開腹小腸切除術を施行し,食道癌の小腸転移と診断された.その後おこった,頸胸部食道の狭窄に対してはステントインステントにて治療した症例を経験したので文献考察を加え報告する.

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