日本臨床外科学会雑誌
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CA125産生腫瘍と考えられた大網原発類上皮平滑筋肉腫の1例
竹林 正孝豊田 暢彦野坂 仁愛若月 俊郎鎌迫 陽谷田 理
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3302-3306

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抄録

症例は55歳,男性.主訴は腹部腫瘤であった.腹部CTでは腹部全体におよぶ充実性腫瘍で内部は嚢胞状を呈していた. MRIではT1強調像で低信号域を示し, T2強調像で高信号域を示した.腹部血管造影で左右胃大網動脈から栄養されていた.以上から大網原発悪性腫瘍として手術を施行した.腫瘍は大網から発生し,切除標本では大きさ23×21×16cmと15×9×6cmの2個の腫瘍からなり総重量2,730gであった.病理組織学的には好酸性の胞体を有する類円形ないし多角形の細胞からなり,免疫組織化学的染色でc-kit, CD34は陰性でα-SMAが陽性であることなどから類上皮性平滑筋肉腫と診断した.さらに本腫瘍は術前CA125が高値を示し, CA125染色で腫瘍細胞は強陽性を呈し,術後CA125値は低下したことから,男性に発症した極めて稀なCA125産生腫瘍と考えられた.術後1年6月経過した現在まで再発の徴候を認めていない.

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