症例は60歳代,男性.既往歴は塵肺(珪肺)および肺癌に対する肺葉切除術.検診目的で上部および下部消化管内視鏡検査が施行され,胸部下部食道の表在癌,胃前庭部の早期癌,横行結腸の平坦発育型腫瘍を指摘され入院.食道病変に対して内視鏡的食道粘膜切除術を施行し,後日,胃部分切除術,横行結腸部分切除術を施行した.病理組織学的検査では食道病変はpoorly differentiated squamous cell carcinoma, m3, ly0, v0,胃病変はtub2, int, infα, sm2, ly1, v0,大腸病変はwell differentiated adenocarcinoma, m, ly0, v0であった.胃病変の深達度がsm2であったため,後日,リンパ節郭清を伴う幽門側胃切除術を施行した.以降,経過良好で初回(肺)手術後18年, 2回目(食道,胃,大腸)手術後4年経過した現在,無再発生存中である.
