日本臨床外科学会雑誌
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ガンマナイフ治療が奏効した多発脳・肺転移乳癌の1例
井上 慎吾宮川 直登草野 佐雨宮 秀武國友 和善藤井 秀樹
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キーワード: ガンマナイフ, 脳転移, 乳癌
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2004 年 65 巻 2 号 p. 349-353

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抄録

ガンマナイフ治療が奏効した多発脳・肺転移乳癌の1例を経験したので報告する.症例は56歳女性で右乳房腫瘤と右乳房緊満感を主訴に来院した.精査の結果多発脳・肺転移を認める乳癌であった.単純乳房切除術後の1週目に脳転移に対しガンマナイフ治療を行い,術後2週目から肺転移に対しdocetaxelによる化学療法を開始した.治療経過中,新たに発生した脳転移巣に対して,さらに2度のガンマナイフ治療を行い,術後8カ月間は高いQOLを保つことができた.しかしその後ガンマナイフによる頭痛,嘔気と化学療法による全身倦怠感のため治療を継続できず,術後約9カ月目に脳・肺転移が原因で死亡した.ガンマナイフは脳転移巣に対し,低侵襲性で高い局所制御率が得られる.脳以外の転移巣に対する治療効果が期待できる乳癌では,ガンマナイフ治療は非常に良い適応となり,脳転移が原因の死亡率は著しく減少することが期待される.

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