抄録
乳腺の腺筋上皮腫(adenomyoepithelioma: AME)は腺上皮細胞と筋上皮細胞が増殖する極めて稀な腫瘍である.今回われわれは高齢者嚢胞内乳癌の同側乳房に併存したAMEの1例を経験した.症例は91歳,女性, 90歳時左乳房に31mmの嚢胞性腫瘤と11mmの充実性腫瘤を指摘, 1年後腫瘍の増大(それぞれ80mm, 15mm)にて受診,多発乳癌と診断し単純乳房切除術施行した.嚢胞性腫瘤は嚢胞内乳癌で非浸潤性乳管癌であった.充実性腫瘤は腺成分の間に筋上皮成分が充実性増殖を示し,免疫組織染色にて腺上皮はcytokeratin陽性,筋上皮はS-100蛋白, Vimentin陽性であり, AMEと診断された. AMEは本邦では自験例を含めて32例の文献報告があり,多くは術前確定診断されずに悪性の疑いとして治療されている.比較的中高年に多いが,なかでも本症例は最高齢であった.