抄録
症例は50歳,女性. 2001年5月左乳房外側上に小豆大の腫瘤を自覚.摘出生検でスキルスパターンを呈する充実腺管癌と診断され,生検から二週間後,鏡視下乳房温存扇状切除術(Br+Ax)を施行した.癌残存組織やリンパ節転移はなかったが,術後5'DFURの経口投与と乳房内照射を行った. 2002年1月喘息症状の悪化と4月に両足のしびれが出現し多発性単神経炎症状を認めた.また,著明な好酸球増多症と高γグロブリン血症,リウマトイド因子および抗核抗体陽性を認めChurg-Strauss症候群(以下CSS)と診断された.約1年間のステロイド療法によりCSSは寛解したが, 2003年4月に多発性肝転移が認められ,現在化学療法施行中である. CSSは稀な疾患で乳癌を合併した症例は未だ報告されていない.乳癌術後にCSSを発症しステロイド療法で寛解した後,多発性肝転移をきたしたことから,自己免疫疾患における免疫学的異常が悪性腫瘍発現に関与しているのではないかと考えられた.